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Illust


20世紀の蒸気機関車
─広田尚敬、O.ウインストン・リンク
The Steam Locomotives of 20th Century
- Naotaka Hirota and O. Winston Link



広田尚敬「快走」 1973年 © HIROTA Naotaka

会 期 : 2000年9月9日(土)〜2001年1月14日(日)
休館日: 毎週火曜日、12月5日(火)〜7日(木)
12月31日(日)〜1月3日(水)

図録、ポストカードはオンラインショップにて販売中

開催趣旨

 清里 フォトアートミュージアムでは、写真を通して20世紀を振り返るシリーズとして「Car Culture - 20世紀写真に見る車社会」(1998年)「水俣:報道写真家・桑原史成の原点」(1999年)といった展覧会を開催してきました。20世紀最後の年には、20世紀文明の大きな原動力となり、そして姿を消した蒸気機関車を取り上げます。蒸気機関車を捉えた多くの写真の中でも、本展では、記録を超えて、強い表現力を持って作品を創ってきた日本を代表する鉄道写真家・広田尚敬とアメリカのO. ウインストン・リンクの二人の作品を紹介いたします。


広田尚敬「フォルム」
1973年

© HIROTA Naotaka

O.ウィンストン・リンク
「東行き急行、ウェストバージニア州、イエガー」
1956年

© O.Winston Link/Courtesy of the Artist

 ウインストン・リンク は、1955年からNorfolk & Western Railwayの撮影を始め、ディーゼル車の台頭により、1962年にすべての蒸気機関車が廃止されるまでの間、エドワード・ホッパーやノーマン・ロックウェルが描いたようなアメリカの典型的な田舎の風景に、夜間に膨大な光量のフラッシュをシンクロさせ、“非日常”の同居するイメージを創り出した作品など、代表作となる多くの作品を制作しています。蒸気機関車の大きさ、強さ、走らせることに関わるすべての作業に魅せられていたリンクは、ほぼすべての写真に周辺の住民や列車の運行に関わる人々を写し込み、蒸気機関車を愛する人々への尊厳をも同時に表現したのです。


O.ウィンストン・リンク
「Aクラスのスイッチャーと乗務員、
ウェストバージニア州、ロアノーク」
1958年

© O.Winston Link/Courtesy of the Artist

O.ウィンストン・リンク
「ホークスビル川の水遊び、バージニア州、ルレイ」
1956年

© O.Winston Link/Courtesy of the Artist

そして、広田尚敬 は、1968年の初個展「蒸気機関車たち」以来、日本の鉄道写真界に新風を吹き込み“広田調”といわしめた独特の表現世界を確立しました。日本の豊かな自然の中を走る蒸気機関車の姿をまるで生き物のように描き、また、煙や鉄の塊が大胆にデフォルメされたイメージは、疾走する蒸気機関車の躍動感をシンボリックに表現しています。そして乗客の息づかいが聞こえてくるような広田の愛情に満ちた眼差しは、多くの人々の支持を得てきました。


広田尚敬「春遊」
1973年

© HIROTA Naotaka

広田尚敬「ハーフ ザ ムーン」
1973年

© HIROTA Naotaka

 蒸気機関車 に取り憑かれた日米の写真家たち。二人の想像力と技術力に支えられた作品約150点をどうぞご覧ください。

 展覧会 初日には、広田尚敬のほか、蒸気機関車の熱烈なファンであり、1986年の国鉄の民営化の際、JRという社名を提案し"名付け親"となった環境デザイナーの泉 眞也氏、鉄道専門誌「RailMagagine」編集長の名取紀之氏によるトーク・セッションを行います。また、会期中には、広田氏によるギャラリー・トーク、クラシックカメラ・ワークショップ、デジタルカメラ・ワークショップ(撮影、講評会)などを予定しています。また、会期中、リンクの撮影風景を再現したビデオ『夜を駆け抜けた列車(Trains that Passed in the Night)』、広田尚敬撮影の最新ビデオ『Little Local Line』を上映いたします。

作家プロフィール

広田尚敬
 1935年、東京に生まれる。中央大学卒業後、フリーランスとなる。幼少期よりの乗り物好きが高じて、鉄道写真にのめり込み、鉄道写真家のパイオニアとして活躍。日本鉄道写真家協会会長。撮影にあたっては、好きな車両をダイレクトに捉えるもの、豊かで美しいランドスケープの中を走る姿、鉄道本来の使命である、人々の生活とのかかわり合いの3点を心がけているという。著書には『ヨーロッパのSL』(朝日新聞社、1973年)『SL夢幻』(蝸牛社、1975年)『永遠の蒸気機関車』(日本交通公社、1976年)『撮った!国鉄2万3千キロ』(講談社、1984年)など150册に及ぶ。近年は、ハーブ研究家のせい子夫人の著書のためにハーブの撮影も多く手がける。

O.ウインストン・リンク
 1914年、ニューヨークに生まれる。ブルックリン工科大学卒業後、工業写真を専門として、大手製造業 を中心とする会社、橋やトンネルなどのパブリシティ用写真を撮影する。蒸気機関車には幼少期から強い興味を持っており、鉄道写真はNorfolk &Western Railwayをスポンサー無しに1955年から1962年まで、モノクロ2250枚、カラーを200枚撮影。主な写真集に『Steam Steel and Stars』(Abrams, 1987)『The Last  Steam Railroad in America』(Abrams, 1995)がある。

関連イベント

・デジタルカメラ・ワークショップ
 日程 :11月23日(祝・木)・24日(金)
 共催 :デジタルCAPA
 協賛 :エプソン販売、ニコン販売、レキサー・メディア
 定員 :30名(応募多数の場合抽選)
 内容 :(初心者対象)撮影会、講評会、懇親会 、
     広田尚敬氏によるギャラリー・トーク
     『デジタルCAPA』誌上にてワークショップの様子をレポート
 参加費 :5,000円 宿泊費別途(K*MoPA併設 パトリ泊)
 カメラ機材などは、すべて当方が用意いたします。

・トークセッション「20世紀の蒸気機関車」
 パネリスト:広田尚敬、泉 眞也、名取紀之
 日時   :9月9日(土)午後2時〜4時   入場無料・予約不要
        午後1時より受付開始
 泉 眞也 プロフィール
 環境デザイナー/プロデューサー。1930年東京生まれ。東京芸術大学美術学部工芸科卒。55年キヤノンカメラ(株)入社、第1回グッドデザイン賞などを受賞。62年退社後フリー。金沢美術工芸大学特別客員教授。多摩美術大学客員教授。慶應義塾大学ビジネス・スクール顧問。都市計画家の故・浅田孝氏らと環境・都市問題を研究。第1回世界環境展総合プロデューサーをはじめ、大阪万博、沖縄海洋博、筑波科学博、国際花と緑の博覧会と、日本で開催されたすべての万博に参画。現在、省庁、自治体による審議会に数多く参画。清里フォトアートミュージアム運営委員。
 名取紀之 プロフィール
月刊「RailMagagine」編集長
 このトークセッションのダイジェストは友の会・会報11号に掲載いたします。(10月下旬以降発行)

・クラシックカメラ・ワークショップ
 日程 :10月27日(金)・28日(土)
 定員 :15名(先着順)
 内容 :広田尚敬氏によるギャラリー・トーク、懇親会、撮影会
     『Rail Magazine』誌上講評
 参加費 :10,000円 宿泊費別途(K*MoPA併設 パトリ泊)
 カメラはご持参下さい。

展覧会図録

展覧会図録 2,625円 + 送料380円 = 3,005円

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