総合学習全80時間のテーマは「世界の中のわたしたち」。世界の人々との共生のためにまず世界の現実を知り、時間をかけて考えてみようというものです。6年生のみなさんは、小林氏の写真を自分の目で確かめ、感じたことをレポートにしたり、授業で難民や地雷のことを調べて発表しました。堀川薫先生は「生徒が予想以上に真剣に学んでいる姿をみて驚きました。その後児童も教師も一生懸命学習に取り組んでいます」と喜びながら語ってくださいました。
「ひどすぎて、どうしていいかわからない・・・」と感想をもらす児童も
11月は、このほか2日と30日の両日、K・MoPAにて小林氏のトークを開催しました。テーマは「難民」。参加者の中には小学生の親子連れのほか都内から駆けつけた小学校の先生や地元の先生の姿も。
「もしあなたが難民になってしまったら何をもって逃げる?」というコーナーでは、小学生の参加者が小林氏が準備した品々から3分以内に必需品を選び荷造りをする体験をしました。(詳細はK・MoPAこどもニュースに掲載しています)
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小林正典氏(左)と、体験コーナーに参加の子どもたち
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小林氏との質疑応答の時間には、撮影者と被写体の関係について等写真の本質に関わるような問いかけも。熱気溢れる一時間半のトークが終了した後も小林氏と話し合う多くの方々の姿が見られ、一人一人の問題意識の高さがうかがわれました。
小林正典著「世界のお母さんマザー・テレサ」を抽選で進呈
12月1日(月)午前、韮崎北東小学校に小林正典氏が出張し、6年生3クラスに向けて「地雷」をテーマに約2時間の講義をされました。総合学習で日々学んでいる成果が発揮され、小林氏が驚くような質問も。丁寧に応えながらも、自分で調べるべきところはあえて答えを出さずに子どもの自主性を尊重しようとする小林氏の姿からは、同じ小学6年生のお子さんをもつ父親としての一面が感じられました。
本当は休み時間。でも、聞きたいことがいっぱい!
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午後の講演に訪れた南アルプス市・南湖小学校は6年生1クラス約40名。振り替え休日を利用しての約2時間半の講演となりましたが、初めて知る世界の現状に素朴な疑問をもち、小林氏に質問を投げかける子どもたちの瞳はとても輝いていました。小林氏自身も「間近で一人一人の目をみながら講演できたことがとてもよかった」と喜んでくださいました。「地雷原」を歩く疑似体験コーナーには児童全員が参加し、午後の出張講演は辺りが真っ暗になるまで続きました。 |
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松葉杖で地雷原を歩く。歩きづらい、そして恐い・・・・ |
難民や地雷についてのお話をうかがった後、小林氏が子どもたちに残した印象的な言葉をご覧ください。
「戦争はなぜ起こるのか。わたしたちはこの現状に対して何ができるのか。
募金をすることも良いでしょう。でも莫大なお金が必要です。わたしたちにできる一番身近なことは、環境問題について考えることです。
環境問題の原因は、実は、わたしたち先進国の生活スタイルにあるのです。
『便利』な生活をするために、わたしたちは貴重な資源を無駄使いしているのですが、それが途上国といわれる外国の自然を奪い、地球温暖化などの深刻な環境問題を引き起こしています。環境が変わり生態系が狂うことによって農作物や資源に影響を及ぼし、その結果、貧富の差や食糧難が生まれ、そこから争いが生じます。武器を売る国も現れ、自国の利益のために武器をどんどん供給しますから、争いは繰り返され、一般の人々は戦士になるか、国を追われて難民になるかの選択をしなければなりません。一番弱い人たちが殺されたり、手足を失ったり、貧しくて行き倒れになったりしているのです。
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「世界の問題を身近なこととして捉えてほしい。」 子どもたちに語る小林正典氏 |
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遠い国のことではありません。原因の一部をつくっているのが『便利』な生活をしているわたしたちであることを意識して、まず無駄の多い生活を改めることから始めましょう。電気をつけっぱなしにしていませんか?食べ物を粗末にしてゴミをたくさん出していませんか?公共の乗り物を使わずに車ばかりに頼って排気ガスを出してはいませんか?ひとつの場所に何台もある自動販売機は本当に必要ですか?疑問を抱くことができる大人になってほしいと思います。そして、できることに取り組んで、戦争に『NO』と言える大人になりましょう。」
韮崎北東小学校のみなさんをはじめ、小林正典展を見た小学生のアンケートは、K・MoPAこどもニュースに掲載しています。また、小林正典氏の出張講演を聴いた北東小学校のみなさんのすばらしい感想文も一部掲載しましたので、ぜひご覧ください。
(2003年12月24日)/文責:広報主任
小川直美 写真:学芸員 田村泰男、学芸員補 野嵜雄一
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