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2017年度ヤング・ポートフォリオ展

Young Portfolio Acquisitions 2017 

2018年3月31日(土)~6月10日(日)

休 館 日:毎週火曜日、但し5月2日(火)は開館

開館時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界の写真家の“原点”をコレクションする、それが「ヤング・ポートフォリオ」。

東欧からアジア、日本まで、世界の若い写真の力が集結

11カ国の27人、160点を一堂に展示

35歳までの写真家を支援するため、清里フォトアートミュージアムは、毎年「ヤング・ポートフォリオ」(YP)を通して作品を公募し、購入・収蔵しています。本展では、2016年収蔵の作品を展示いたします。

清里フォトアートミュージアムは、35歳までの写真家を支援するため、毎年「ヤング・ポートフォリオ」(YP)を通して作品を公募し、購入・収蔵しています。本展では、2017年度収蔵の作品を展示いたします。

選考委員:クー・ボンチャン (韓国)、上田義彦、細江英公(館長)

Selection Committee: KOO Bohnchang, UEDA Yoshihiko, HOSOE Eikoh (Director of the Museum)

■2017年度ヤング・ポートフォリオ(以下YP2017)の見どころ

K.M. アサド(バングラデシュ、1983)《バングラデシュのロヒンギャ難民》2012

リン・チュンヤオ(台湾、1992)《わたしは家に帰ります》2014

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●過去のYPにて収蔵した作品も同時展示

「YP2017」にて作品を収蔵した作家全27人のうち、9人が、過去のYPでも作品を収蔵しています。彼らがどのようにシリーズを発展させ、また視線を深めているのかをご覧いただくため、過去のYP収蔵作品も同時に展示いたします。最新作とあわせてご覧ください。

過去のYPでも作品収蔵した作家:K.M.アサド / チョン・コクユウ / 林 典子 / ムーチェン・ホー / ジーヨン・イ / プラシャンタ・クマール・サハ / 坂口真理子 / 山口雄太郎 / ピョートル・ズビエルスキ?

ジーヨン・イ(韓国、1983)《失恋》2011

ピョートル・ズビエルスキ(ポーランド、1987)《無題「白い象」シリーズより》2010

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●YP2016に引き続き迎えた外国人選考委員:クー・ボンチャン氏(韓国)

YP2016では、台湾を代表する写真家・張照堂氏を選考委員にお迎えし、昨年5月の「YP公開レセプション+アーティスト・トーク」には、アジアの隣国、韓国、台湾をはじめ、ロシアやポーランドなど、これまでで最も多くの外国人作家が来館しました。YP2017では、韓国を代表する写真家クー・ボンチャン氏をお迎えしました。その影響も大きく、台湾や韓国などからの応募作品数も増え、今年は初めて、作品を収蔵した全27人のうち15人が海外作家となりました。

右:選考風景。左から上田義彦氏、クー・ボンチャン氏、細江英公(館長)

同時展示●●●選考委員の初期作品各5点(全15点)を同時に展示いたします。

 

<<<<<選考委員の言葉より>>>>>

ピョートル・ズビエルスキ(ポーランド、1987)《無題「白い象」シリーズより》2010

YP作品に見える“時代”・・・YP2017選考委員・上田義彦

これだけの多くの作家の写真を見ていると、グローバルと言われている中にも、それぞれの国に独自の時代があるというふうに感じました。時が経てば、それが「時代」と言っていいのだと思います。社会的に大きなテーマであろうと、個人的なものを撮っていようと、それぞれの環境や状況に写真が真正面から対峙していれば、そこには時代が写っているんだなと思います。」

 

 

 

 

 

 

 

 

デレク・マン(イギリス/香港、1988)《シャンクリン保守派クラブ、ワイト島(ダウジー)》2016

YP世代(35歳まで)の技法的特徴について・・・ YP2017選考委員 クー・ボンチャン

韓国では今、デジタルカメラとフォトショップが非常に流行っていて、力のある写真がどんどん減ってきています。パソコンでコラージュしたり、画像処理することが一般的な時代です。ところが、YPに応募している作家たちは、カメラで表現することが出来る。イメージで何かを語ろうとしていたことが、すごくありがたいと感じましたし、これからもこういう作家たちがずっと残って行って欲しいと思います。」

 

 

 

 

 

 

 

 

山元彩香(日本、1983)《Untitled from the series Nous n’irons plus au bois (無題「もう森へは行かない」シリーズより)》2012

YP選考委員が全員写真家であること・・・ YP2017選考委員・上田義彦

僕は、写真家が写真を選ぶことは、とても重要だと思う。ものを見て、直面して、肌で、身体で撮っている人間が選ぶ 写真と、批評家が選ぶ写真とは違ってくると思うんです。今回、かなり強く僕の中に残っている写真があって、応援したいな、今後もずっと見ていたいなと思う人たちが複数人います。今回選考に参加できて、すごく嬉しかったです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

■作品購入作家 ★ は過去にもヤング・ポートフォリオで作品を収蔵した作家

1)青木秀平(日本、1989)AOKI Shuhei (Japan, 1989)

?2)K.M.アサド(バングラデシュ、1983)★K.M. ASAD (Bangladesh, 1983)

?3)ガエル・ボヌフォン(フランス、1982)Gael BONNEFON (France, 1982)

?4)チョン・コクユウ(マレーシア、1988)★CHONG Kok Yew (Malaysia, 1988)

?5)遠藤未奈子(日本、1989)ENDO Minako (Japan, 1989)

?6)林 典子(日本、1983)★HAYASHI Noriko (Japan, 1983)

?7)ムーチェン・ホー(台湾、1987)★Mu-Tien HO (Taiwan, 1987)

?8)チャン・ユージン(韓国、1983)JANG Yu Jin (Korea, 1983)

?9)シンウク・キム(韓国、1982)Shinwook KIM (Korea, 1982)

?10)ジーヨン・イ(韓国、1983)★Jeeyoung LEE (Korea, 1983)

?11)リン・チュンヤオ(台湾、1983)LIN Chun Yao (Taiwan, 1992)

?12)デレク・マン(イギリス/香港、1988)Derek MAN (U.K./Hong Kong, 1988)

?13)宮田裕介(日本、1985)MIYATA Yusuke (Japan, 1985)

?14)岡田一顕(日本、1987)OKADA Ikken (Japan, 1987)

?15)プラシャンタ・クマール・サハ(バングラデシュ、1983)★Prashanta Kumar SAHA (Bangladesh, 1983)

?16)坂口真理子(日本、1987)★SAKAGUCHI Mariko (Japan, 1987)

?17)関根大樹(日本、1982)SEKINE Daiju (Japan, 1982)

?18)塩田亮吾(日本、1983)SHIODA Ryogo (Japan, 1983)

?19)ソン・テワン(韓国、1988)SONG Taewan (Korea, 1988)

?20)ハリ・シーカオ(タイ、1995)Harit SRIKHAO (Thailand, 1995)

?21)田村正義(日本、1984)TAMURA Masayoshi (Japan, 1984)

?22)山口雄太郎(日本、1987)★YAMAGUCHI Yutaro (Japan, 1987)

?23)山元彩香(日本、1983)YAMAMOTO Ayaka (Japan, 1983)

?24)山本雅紀(日本、1989)YAMAMOTO Masaki (Japan, 1989)

?25)アレクサンドル・エゴロフ(ロシア、1987)Alexander YEGOROV (Russia, 1987)

?26)サンヒュク・ユン(韓国、1983)Sanghyuk YOON (Korea, 1983)

?27)ピョートル・ズビエルスキ(ポーランド、1987)★Piotr ZBIERSKI (Poland, 1987)

?YPデータベースでは、収蔵作品画像のほか、作家略歴、アーティスト・ステートメントを掲載しています。作家名、収蔵年、国籍などで検索することができます。過去20年にわたる世界の若手写真家の作品を、様々な調査・研究の対象としてもご利用いただければ幸いです。

山本雅紀(日本、1989)《我が家》2016

チャン・ユージン(韓国、1983)《部屋着》2011

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■■■■■YP2017公開レセプション & アーティスト・トーク■■■■■

KMoPAエントランスホール

収蔵された自作について語るイーダ・ターヴィツァイネン氏(フィンランド)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5月19日(土) 午後2時~4時

講評:クー・ボンチャン、上田義彦、細江英公(館長)

入館料のみ / 定員なし / 要予約 / どなたでもご参加いただけます

会場:清里フォトアートミュージアム

当日出席する作家に作品永久保存証書を授与した後、作家自身によるトークと、3人の選考委員による講評を行います。 若手写真家にとっては、第一線で活躍する選考委員から直接講評を受けられる貴重な機会となります。

■■■■■2018年度ヤング・ポートフォリオ(第24回)■■■■■

今できる限りのものを見せてほしい。

今の挑戦が未来のあなたを強くする。

2018年度選考委員:川田喜久治、上田義彦、細江英公(館長)

●Web登録受付期間 & 応募作品受付期間: 2018年4月15日~5月15日

●応募要項の概要・応募資格は35歳までを上限とします。(1983年1月1日以降に生まれた方)

・既発表・未発表を問いません。他のコンテストへの応募作品・受賞作品も応募可能です。

・作品の表現、技法は問いませんが、永久コレクションのため、長期保存が可能な技法であること。

・選考された作品は、1点につき3万円以上で購入します。

詳しい応募要項は:www.kmopa.com/yp_entry

「清里フォトアートミュージアム収蔵作品展:原点を、永遠に。-2018-」

清里フォトアートミュージアム(K・MoPA)の収蔵作品より U-35の写真、409点

会期:2018年3月24日(土)~5月13日(日)  清里フォトアートミュージアム(KMoPA)は、東京都写真美術館において2度目となる「原点を、永遠に。-2018-」展を開催します。

 

 

 

 

 

 

 

 

アル・ラプコフスキー(ラトビア、1981)
《もっとレゴがほしい》2016年 ⒸAl Lapkovsky

■19-21世紀の“ヤング・ポートフォリオ” 本展はKMoPAの全収蔵作品の中から、写真家が35歳までに撮影した作品を展示いたします。19世紀以降の海外の著名な写真家35人、第二次世界大戦以後の日本を代表する31人、当館が世界の35歳以下を対象におこなう公募=ヤング・ポートフォリオから厳選した29人、計95人(各1-5点出品)409点の写真を公開いたします。 なお会期中に展示替えをおこない、同一作品を異なる順序でご覧いただきます。 前期<歴史篇>:3月24日~4月15日  1886-2016年の作品を撮影年代順に展示。青年が時代を切り拓いてきた軌跡をたどります。 後期<作家篇>:4月17日~5月13日 作家名をほぼアルファベット順に展示。一人ひとりの個性と写真の多様性に触れていただきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

細江英公(日本、1933)
《おとこと女 #20》1960年 ⒸEikoh Hosoe

■芸術における青年期の意義を問う 芸術家は、青年期に強い意志と情熱をもって試行錯誤を重ねることにより、才能・資質が高められ、作品のクオリティが磨かれます。研鑽を積んだ作家の多くは、おのずと30代には自己のスタイルを確立し、代表作となる作品を生みだしています。青年の原点とも言うべき作品が、表現の領域を開拓し、歴史を築いてきました。そこには永遠の輝きがあります。KMoPAは本展において、芸術における青年期の意義を問いたいと思います。

 

 

 

 

 

 

ロバート・キャパ(ハンガリー、アメリカ、1913-1954)
《連合軍による北フランス攻撃開始日(Dディ)、フランス、オマハ・ビーチ、1944年6月6日》1944年
ⒸRobert Capa/ICP/Magnum Photos

ロベール・ドアノー(フランス、1912-1994)
《ジェジェンヌの店の花嫁》1946年
ⒸAtelier Robert Doisneau/Contact

篠山紀信(日本、1940)
《誕生》1968年
ⒸKishin Shinoyama

荒木経惟(日本、1940)
《さっちん》1962-63年
ⒸNobuyoshi Araki

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

関連イベント●●●ギャラリートーク 

3/24(土)14:00-15:00 中藤毅彦(写真家)× 柊サナカ(ミステリー作家)

3/25(日)14:00-15:00 瀬戸正人(写真家)

4/7(土) 14:00-15:00 川田喜久治(写真家) 

4/21(土)①14:00-15:00  /  ②16:00-17:00 鬼海弘雄(写真家)  

★ご予約不要 トーク会場=東京都写真美術館 地下1階展示室   

【本件に関するお問い合わせ】

清里フォトアートミュージアム TEL:0551-48-5599  info@kmopa.com

ジュリオ・ビッテンクール(ブラジル、1980)
《Ramos 13》2009年
ⒸJulio Bittencourt

G.M.B. アカシュ(バングラデシュ、1977)
《故郷に帰りたい》2007年
ⒸG.M.B. Akash

有元伸也(日本、1971)
《西蔵(チベット)より肖像》1996年
ⒸShinya Arimoto

マリヤ・コジャノヴァ(ロシア、1986)
《「無関心の表明」シリーズより メイド》2012年
ⒸMariya Kozhanova

ピョートル・ズビエルスキ(ポーランド、1987)
《無題「白い象 ? パス・バイ・ミー」シリーズより》2010年
ⒸPiotr Zbierski

 

清里フォトアートミュージアムとヤング・ポートフォリオ KMoPA(館長:細江英公)は、1995年、“写真と写真家のために生きる美術館”をめざして、清里に開館しました。 当館の基本理念のひとつが「若い力の写真:ヤング・ポートフォリオ」です。毎年35歳までの写真を世界中から公募、第一線の写真家による選考を経て、すぐれた作品を購入し、展覧会を開催しています。過去22年間に、世界74カ国から10,157人、128,831点の応募があり、45カ国、773人、5,974点の作品を永久保存しております。こうした活動は他に類を見ないものです。(公益社団法人・日本写真協会より2004年度文化振興賞を受賞)。 ?KMoPAは、若い写真家のチャレンジの場となり、彼らが切磋琢磨する生き生きとした現場でありたいと思います。戦後日本の写真家たちも、青年期に“巨匠”の作品に学び、いまや日本を代表する写真家として幅広く活躍しています。現在は、その作家が選考委員となり、後輩写真家たちに厳しくも温かいまなざしを注ぎ、成長を見守っています。若い写真家が、やがては次世代を育ててくれることでしょう。 これからもKMoPAは、写真家の原点を永遠に伝え、写真の未来を拓き、ヤング・ポートフォリオを通じて青年をはぐくんでいきたいと願っています。

【選考委員-39人】*ABC順 / 1995-2017年

荒木経惟、張 照堂(台湾)、 江成常夫、英 伸三、広河隆一、細江英公(館長)、今井壽惠、石元泰博、岩合光昭、十文字美信、川田喜久治、鬼海弘雄、木之下 晃、北島敬三、 クー・ボンチャン(韓国)、桑原史成、三好和義、森永 純、森山大道、本橋成一、長野重一、内藤正敏、奈良原一高、野町和嘉、大石芳野、坂田栄一郎、佐藤 明、瀬戸正人、篠山紀信、須田一政、高梨 豊、田沼武能、立木義浩、東松照明、富山治夫、土田ヒロミ、都築響一、上田義彦、横須賀功光

  • ヤング・ポートフォリオ作品募集!

対象:35歳以下の方。プロ、アマチュア、国籍を問わず、既発表作品も応募可。プリント最大50枚まで。

募集期間:毎年4月15日~5月15日   ヤング・ポートフォリオ専用サイト: www/kmopa.com/yp_entry

  • 過去のデータベース:www.kmopa.com 1995年からの収蔵作品をご覧いただけます。
  • K・MoPA基本情報  www.kmopa.com

W.ユージン・スミス(アメリカ、1918-1978)
《楽園への歩み》1946年
Ⓒ2017 The Heirs of W. Eugene Smith/PPS

ルシア・エレロ(スペイン、1976)
《ナバロ夫妻、トレド夫妻、マルティネス夫妻(「族」シリーズ)》2009年 ⒸLucia Herrero

 

 

エリオット・アーウィット(アメリカ、1928)
《コロラド州 割れたガラスと少年》1955年
ⒸElliott Erwitt/Magnum Photos

エド・ヴァン・デル・エルスケン(オランダ、1925-1990)
《アタ・カンドと3人の子ども、パリ、セーヴル》1953年頃
Nederlands Fotomuseum / ⒸEd van der Elsken

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出品作家一覧 (ABC順) ★=ヤング・ポートフォリオ作家  ●=ヤング・ポートフォリオ選考委員

ベレニス・アボット(アメリカ、1898-1991)

アンセル・アダムス(アメリカ、1902-1984)

G.M.B. アカシュ(バングラデシュ、1977)★

マヌエル・アルバレス・ブラボ(メキシコ、1902-2002)

荒木経惟(日本、1940)●

有元伸也(日本、1971)★

ワーナー・ビショフ(スイス、1916-1954)

ジュリオ・ビッテンクール(ブラジル、1980)★

ビル・ブラント(イギリス、1904-1983)

ブラッサイ(ハンガリー、フランス、1899-1984)

ロバート・キャパ(ハンガリー、アメリカ、1913-1954)

アンリ・カルティエ=ブレッソン(フランス、1908-2004)

張 照堂(台湾、1943)●

アルヴィン・ラングドン・コバーン(アメリカ、イギリス、1882-1966)

ブルース・デイヴィッドソン(アメリカ、1933)

ロベール・ドアノー(フランス、1912-1994)

ハロルド・E. エジャートン博士(アメリカ、1903-1990)

ERIC(イギリス、1976)★

エリオット・アーウィット(アメリカ、1928)

イスマイル・フェルドゥス(バングラデシュ、1989)★

ロバート・フランク(スイス、アメリカ、1924)

藤原新也(日本、1944)

エメット・ゴーウィン(アメリカ、1941)

ハン・スンピル(韓国、1972)★

英 伸三(日本、1936)●

エリザベス・ハウスト(ロシア、1992)★最年少

林 典子(日本、1983)★

ロバート・ハイネケン(アメリカ、1931-2006)

ルシア・エレロ(スペイン、1976)★

ルイス・ハイン(アメリカ、1874-1940)

本城直季(日本、1978)★

細江英公(日本、1933)●

今井壽恵(日本、1931-2009)●

石元泰博(日本、1921-2012)●

岩合光昭(日本、1950)●

フィリップ・ジョーンズ=グリフィス(イギリス、1936-2008)

亀山 亮(日本、1976)★

ユーサフ・カーシュ(アルメニア、カナダ、1908-2002)

川田喜久治(日本、1933)●

アンドレ・ケルテス(ハンガリー、アメリカ、1894-1985)

鬼海弘雄(日本、1945)●

木之下 晃(日本、1936-2015)●

北島敬三(日本、1954)●

北野 謙(日本、1968)★

ウイリアム・クライン(アメリカ、1928)

ヴィクトル・コーエン(ギリシャ、1967)★

マリヤ・コジャノヴァ(ロシア、1986)★

桑原史成(日本、1936)●

アル・ラプコフスキー(ラトビア、1981)★

セルゲイ・レベディンスキー(ウクライナ、1981)★

三木 淳(日本、1919-1992)

ラファル・ミラフ(ポーランド、1978)★

三好和義(日本、1958)●

百瀬俊哉(日本、1968)★

森山大道(日本、1938)●

長野重一(日本、1925)●

内藤正敏(日本、1938)●

中藤毅彦(日本、197)★

奈良原一高(日本、1931)●

野町和嘉(日本、1946)●

大石芳野(日本、1944)●

アダム・パンチュク(ポーランド、1978)★

アーヴィング・ペン(アメリカ、1917-2009)

ジル・ペレス(フランス、1946)

トニー・レイ=ジョーンズ(イギリス、1941-1972)

坂口真理子(日本、1987)★

ジョージ・H. シーリー(アメリカ、1880-1955)

瀬戸正人(日本、1953)●

デイヴィッド・シーモア(ロシア、ポーランド、アメリカ、1911-1956)

下薗詠子(日本、1979)★

篠山紀信(日本、1940)●

白川義員(日本、1935)

ユージン・スミス(アメリカ、1918-1978)

ギジェルモ・シュロデック=ハート(アルゼンチン、1977)★

ジョエル・スターンフェルド(アメリカ、1944)

アルフレッド・スティーグリッツ(アメリカ、1864-1946)

ルー・ストーメン(アメリカ、1917-1991)

フランク・メドウ・サットクリフ(イギリス、1853-1941)

髙木忠智(日本、1977)★

高梨 豊(日本、1935)●

田沼武能(日本、1929)●

立木義浩(日本、1937)●

東京るまん℃(日本、1980)★

東松照明(日本、1930-2012)●

富山治夫(日本、1935-2016)●

土田ヒロミ(日本、1939)●

植田正治(日本、1913-2000)

ジェリー・N. ユルズマン(アメリカ、1934)

エド・ヴァン・デル・エルスケン(オランダ、1925-1990)

ムネム・ワシフ(バングラデシュ、1983)★

エドワード・ウエストン(アメリカ、1886-1958)

ハンネ・ファン・デル・ワウデ(オランダ、1982)★

楊 哲一(台湾、1981)★

横須賀功光(日本、1937-2003)●

ピョートル・ズビエルスキ(ポーランド、1987)★

◎本展は、主催者の清里フォトアートミュージアムが、真如苑・社会貢献基金の助成を受けて開催いたします。

Curator’s Choice

「マヌエル・アルバレス・ブラボ:メキシコ、静かなる光と時」展(世田谷美術館)を見て

清里フォトアートミュージアム 学芸員・山地裕子


<1997年、アルバレス・ブラボ展をKMoPAにて開催>

現在、世田谷美術館にて開催中のマヌエル・アルバレス・ブラボ展。アルバレス・ブラボの展覧会はこれまで世界中で多数開催されてきましたが、同展では、作家の遺族が運営するアーカイブの協力を得て、困難だった撮影年の特定を試み、192点を時系列に展示することで、20世紀メキシコを生きた写真家の仕事の全容を見ようとするものでした。多数の展示資料と充実した図録も発行され、本当に大変な準備作業だったことと想像しますが、ラテン・アメリカの偉大な写真家の本格的な展覧会が開催されたことは、今後、日本の写真にさまざまな影響を及ぼすものと思います。 実は、マヌエル・アルバレス・ブラボの展覧会を、KMoPAでも1997年(6/21-10/26)、メキシコ大使館の協力により開催しています。KMoPAでの展覧会は、日本初の美術館における個展であり、多くの写真関係者にとって、メキシコを代表する巨匠の作品を初めて目にする機会となりました。 当館館長の細江にとっても、アルバレス・ブラボの日本での展覧会は、長年待ち望んだものでした。アルバレス・ブラボ・アーカイブでは、細江館長より「ぜひあなたの作品を見たい」と熱望する手紙が何通も見つかったとのこと。1996年、駐日メキシコ大使館文化部のエギアルテ氏から、メキシコでも“マエストロ”として知られる細江館長へ、日本への巡回の打診があった時の細江館長の興奮した様子は言うまでもありません。大使館の協力が得られるとのことで、早々に会期を設定し、国際協力基金の助成も得て、開催の運びとなったのです。 KMoPAでの展覧会は、作品数176点。メキシコ文化省が世界各地を巡回させていた回顧展で、代表作を網羅した内容となっていました。当時、マヌエル・アルバレス・ブラボは95歳。高齢のため来日出来ませんでしたが、夫人であり写真家でもあるコレット・ウルバフテルをオープニングにお迎えし、当館の開館2周年記念と併せてレセプションを行いました。

メキシコの至宝:マヌエル・アルバレス・ブラヴォ展チラシ表 1997年6月21日?10月26日

メキシコの至宝:マヌエル・アルバレス・ブラヴォ展チラシ表面
1997年6月21日?10月26日

チラシ裏面

チラシ裏面

当時の展示風景

展示風景

 

オープニング・レセプションにてご挨拶されるコレット夫人。

オープニング・レセプションにて挨拶をするコレット夫人。

右から田沼武能(当時日本写真家協会会長)、夫人のコレット・アルバレス・ウルバフテル、細江館長

右から田沼武能氏(日本写真家協会会長)、コレット夫人、細江館長

<メキシコのアルバレス・ブラボ邸を訪れて>

1996年11月、同展を終了した直後、私は国際写真キュレーター会議「オラクル」に出席するため、細江館長に同行し、メキシコを訪れました。その際、細江館長、サンディエゴ写真美術館館長のアーサー・オルマン、イスラエル美術館キュレーターのニッサン・ペレスとともに、メキシコ・シティのコヨアカン地区にあるアルバレス・ブラボ邸を訪れる機会を得ました。(*文中役職はすべて当時)

居間にて。細江館長(左)とアーサー・オルマン氏。オルマン氏の後ろの壁には、ベレニス・アボット撮影のウジェーヌ・アジェの肖像が掛けられていた。

居間にて。細江館長(左)とアーサー・オルマン氏。オルマン氏の後ろの壁には、ベレニス・アボット撮影のウジェーヌ・アジェの肖像が掛けられていた。

アルバレス・ブラボ邸入り口、大きな竜舌蘭が

アルバレス・ブラボ邸入り口。右手に大きな竜舌蘭(サボテン)。右からニッサン・ペレス、アーサー・オルマン、細江館長

風が気持ちよく通る居間には、中庭の見える大きなガラス窓。その奥の部屋で“ドン・マヌエル“(尊敬を込めた愛称)は、ベッドに横たわったまま、笑顔で来客を迎えてくれました。メキシコ独特のデザインの椅子が置かれた居間で、コレット夫人やアシスタントと穏やかなひとときを過ごしてから、自宅から少し歩いたところにある暗室へ案内されました。光の降り注ぐ居間での光景は、私の中で圧倒的なものとして、今も鮮やかに蘇ります。 居間の壁には、ベレニス・アボット撮影のウジェーヌ・アジェとジェームズ・ジョイスの肖像を含む数枚の写真が飾られていました。世田谷美術館での展覧会に際して来日したアルバレス・ブラボの娘で、アーカイブを管理しているアウレリア・S. アルバレス・ウルバフテルによると、ジョイスはアルバレス・ブラボの好きな作家の一人で、『ユリシーズ』も初版本の複製を含む数冊を所蔵していたそうです。そして、アジェもアルバレス・ブラボが敬愛する写真家の一人でした。別の部屋にはティナ・モドッティの“Flor de Manita”(小さな手のような形をした花の意、1925年撮影、プラチナ・プリント)と並べて、アルバレス・ブラボの1928年撮影の《アイスクリーム売り車の上の小馬》(Caballito de Carro de Helados)が飾られていたそうです。

マヌエル・アルバレス・ブラボ《アイスクリーム売り車の上の小馬》1928 ?2016 Colette Urbajtel / Archivo Manuel Alvarez Bravo., S.C., Mexico City

マヌエル・アルバレス・ブラボ《アイスクリーム売り車の上の小馬》1928、プラチナ・プリント、当館所蔵
Ⓒ2016 Colette Urbajtel / Archivo Manuel Alvarez Bravo., S.C., Mexico City

 

アルバレス・ブラボ邸中庭

アルバレス・ブラボ邸中庭にて(山地撮影、1997年)

自宅の中庭や窓は、たびたびアルバレス・ブラボの被写体となっていましたが、90歳を越えてからは特に頻繁に撮影し、シリーズ〈内なる庭〉を発表しています。窓枠にからむ光と影の一瞬の戯れも、アルバレス・ブラボの撮影によって、詩情あふれるモノクロの世界に ー その生涯を貫いた写真への思いは、まさに次の言葉に集約されています。 ? ? ? ? ? 「私にとって写真とは、見る技法です。ほぼそれに尽きるといえます。見える物を撮り、絵画と違って、ほとんど改変もしない。こうした姿勢でいると、写真家には予期せぬものを、実に上手に生かせるのです。」(1970年) (『マヌエル・アルバレス・ブラボ ー メキシコ静かなる光と時』2016、クレヴィスより)

<当館所蔵のアルバレス・ブラボ作品:プラチナ・プリント>

当館では、アルバレス・ブラボの作品を12点収蔵しています。《アイスクリーム売りの二輪車の上についた小さな馬》を含むプラチナ・プリントのポートフォリオ10点と、1997年の展覧会時に夫人から寄贈された作品《眼の寓話》(Parabola optica, 1931年,プラチナ・プリント)、そして、もう1点は、写真家ロバート・ハイネケン(米、1931-2006)が所蔵していた作品で、《誘惑、アントニオの庭にて》(Tentaciones en casa de Antonio,1970)です。

ポートフォリオ(ケース)

当館所蔵のポートフォリオ(ケース)

プラチナ・プリントの制作については、世田谷美術館の展示室最後部での展示および図録の巻末において、写真家ジェイン・ケリーが撮影した、室作業を行うアルバレス・ブラボの写真が紹介されていますが、その時のプリントが、当館所蔵のポートフォリオです。

アルバレス・ブラボの暗室

アルバレス・ブラボの暗室(山地撮影、1997年)

アルバレス・ブラボは、古い写真や機材、古典技法に強い関心を持っていました。初めてプラチナ・プリント技法をアルバレス・ブラボに紹介したのは、メキシコに滞在していたティナ・モドッティで、1928年頃でした。モドッティは、既成のプラチナ印画紙のロール(断裁していないロールの状態)を持っていたのですが、モドッティの関心は、当時他の技法にあったため、アルバレス・ブラボに譲ったとのこと。そのロール紙からアルバレス・ブラボが制作した初めての作品が、自宅に掛けられていた《アイスクリーム売りの車の小馬》でした。ポジ画像よりも、むしろネガの見え方の方に惹かれ、そちらを作品化したというイメージです。その後、しばらくして、再度そのロール紙からプラチナ・プリントを制作しようとしましたが、湿気などの原因で用紙が劣化してしまい、さらに既製品も生産されなくなっていました。 ? ? それから約50年の後、再びアルバレス・ブラボのプラチナ・プリントへの興味が再燃した理由は、モドッティの没後、彼に託されたモドッティのネガを見ていて、彼女の作品は、ゼラチン・シルバーよりもプラチナ・プリントの方が適していると感じたことからでした。折しも、アメリカでは、アーヴィング・ペンなど多くの写真家が、プラチナ・プリント技法を復活させようと夢中になっていました。 アルバレス・ブラボは、ニューヨーク近代美術館写真部長のジョン・シャーカフスキーから、写真家リチャード・ベンソン(現イェール大学写真学科助教授)が作ったプラチナ・プリント技法マニュアルを譲り受け、4年間の試行錯誤の後、ようやく10枚のポートフォリオ制作にたどり着いたのです。

暗室にて

暗室にて(カラー引き伸ばし機)

暗室にて。細江館長(左)が動かしているのは、ヴァキュームによってネガと印画紙を密着させ、ガラス版を回転させて露光するプリント用機器。

暗室にて。細江館長(左)が動かしているのは、ヴァキューム・プリンター(ヴァキュームによってネガと印画紙を密着させ、ガラス版を回転させて露光するプリント用機器)

 

ヴァキューム・プリンター(密着焼きと紫外線露光用の機器)

ヴァキューム・プリンター

薬品棚

暗室内の薬品棚

 

ドライ・ルーム。左手は、大きなドライマウント用のプレス機。

ドライ・ルーム。左手は、大きなドライマウント用のプレス機。

 

暗室の外に置かれていた子ども用の馬の乗り物。

暗室の外に置かれていた子ども用の馬の乗り物。

歴史、政治、文学、映像、舞台、美術、工芸、デザイン、内外のさまざまな影響を受けた豊穣なメキシコ文化。歴史や偶然が生み出した美やユーモアと写真家の視点が交差し、いとも簡単に切り取られたように見える一方で、現実と非現実のあわいが、幻想的で、摩訶不思議な世界を感覚させるアルバレス・ブラボの写真。世田谷美術館での会期は、残すところあと1日。終了後は、名古屋市美術館、静岡市美術館へ巡回されます。ぜひご覧になってはいかがでしょうか。 当館所蔵のアルバレス・ブラボのプラチナ・プリント・ポートフォリオは、定期的に開催しているプラチナ・プリント収蔵作品展にて展示いたします。 78歳当時の写真家が選んだ10点はどのイメージだったのか。アルバレス・ブラボは、イメージによって印画紙に使用する水彩画用紙も変え、色調も、冷たい黒や赤みのあるグレーなど、個々に調整しています。次回の展示をどうぞお楽しみに。

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