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「鉄道愛」展

O. ウインストン・リンク《バージニア州ナチュラル・ブリッジに到着する列車2号》1956年 ⒸO. Winston Link Image Courtesy of the O. Winston Link Museum

O. ウインストン・リンク《バージニア州ナチュラル・ブリッジに到着する列車2号》1956年 ⒸO. Winston Link Image Courtesy of the O. Winston Link Museum

開催概要
展覧会名: 「鉄道愛」
会期: 2023年7月7日(金)~9月24日(日)
会場: 清里フォトアートミュージアム
主催: 清里フォトアートミュージアム委員会
特別協賛: 真如苑(社会貢献基金)
開館時間: 10:00~18:00(入館は17:30まで)
休館日: 会期中7,8月は無休、9月は火曜休館
入館料: 一般800円(600円) 学生600円(400円) 高校生以下無料
( )内は20名様以上の団体料金 家族割引1,200円(2名~6名様まで)
アクセス: 車にて:中央自動車道須玉I.C.または長坂I.C.より車で約20分
J R:中央本線小淵沢駅にて小海線乗り換え 清里駅下車、車で約10分

鉄道写真のパイオニアから<ねこ鉄>、鉄道ジオラマまで、鉄道愛あふれる展覧会

 
清里フォトアートミュージアム(K・MoPA/ケイモパ、山梨県北杜市)は、2023年7月7日(金)から9月24日(日)まで「鉄道愛」を開催いたします。
 
乗り鉄、撮り鉄、食べ鉄 ─ 鉄道には非常に幅広い魅力があり、楽しみ方があります。なかでも撮影と鑑賞が一体となった撮り鉄は、その究極の形。あなたも心揺さぶる“鉄道愛”の世界を覗いてみませんか。
 
アメリカ最後の蒸気機関車の姿をとらえたO. ウインストン・リンクと、日本を代表する鉄道写真家、広田尚敬。当館収蔵作品より、“撮り鉄”の原点、二人のパイオニアを紹介するほか、元国鉄電気機関士・滝口忠雄が、運転士の目線でとらえた1970年代の国鉄、若手鉄道写真家・山下大祐が展開する新しいヴィジョン、“ゆる鉄”で知られる中井精也が捉えた高原列車JR小海線の色鮮やかな風姿など、鉄道愛あふれる写真展です。特別編として<ねこ鉄>、また、1920年代アメリカ山岳鉄道をテーマとした精巧なジオラマも初公開します。
(展示点数:156点、ジオラマを除く)

展示構成

第一部:“撮り鉄”はいかにして生まれたか ─ 鉄道写真のパイオニア展示構成
O. ウインストン・リンク、広田尚敬

鉄道が支える生活や景観を記録し、優れた作品を残したレジェンドたち。消え行くアメリカの蒸気機関車を、敢えて夜間に膨大な閃光電球(フラッシュバルブ)を焚いて撮影したO. ウインストン・リンクと、日本の鉄道写真のパイオニアであり、“表現”の場を切り拓いた広田尚敬のSLをご覧いただきます。
 

O. ウインストン・リンク《ヘッドライトを清掃するJ. W. ダールハウス、バージニア州ロアノーク、シェーファーズ・クロッシング》1955年 ⒸO. Winston Link Image Courtesy of the O. Winston Link Museum

O. ウインストン・リンク《ヘッドライトを清掃するJ. W. ダールハウス、バージニア州ロアノーク、シェーファーズ・クロッシング》1955年 ⒸO. Winston Link Image Courtesy of the O. Winston Link Museum

 

O. ウインストン・リンク《ホークスビル川の水遊び、バージニア州ハーレー》1956年 ⒸO. Winston Link Image Courtesy of the O. Winston Link Museum

O. ウインストン・リンク《ホークスビル川の水遊び、バージニア州ハーレー》1956年 ⒸO. Winston Link Image Courtesy of the O. Winston Link Museum

 

広田尚敬《快走1》1973年 ⒸNaotaka Hirota

広田尚敬《快走1》1973年 ⒸNaotaka Hirota

 

広田尚敬《雪嶺》1965年 ⒸNaotaka Hirota

広田尚敬《雪嶺》1965年 ⒸNaotaka Hirota

第二部:国鉄の時代 ─ 滝口忠雄〈遥かな汽笛〉
「鉄路を愛し、鉄路の労働を愛し、そこに働く人々の人間の絆を愛し、人々の生活とともにあった鉄路を愛した」

元国鉄電気機関士・滝口忠雄が捉えた蒸気機関車最後の時代 —— 1970年前後のSL、乗務員、そして昭和の日常を展示します。蒸気機関車の運行には、設備と人手がかかり、息の合った二人でなければ運転もできませんでした。厳しい労働条件でありながら、国鉄の仕事を愛した異色の写真家・滝口の青春の日々が鮮やかに描かれています。
 

滝口忠雄〈遥かな汽笛〉より《‘71 1/25 花輪線 竜ヶ森、安全への証、タブレットの授受。》1971年 ⒸTadao Takiguchi

滝口忠雄〈遥かな汽笛〉より《‘71 1/25 花輪線 竜ヶ森、安全への証、タブレットの授受。》1971年 ⒸTadao Takiguchi

 

滝口忠雄〈遥かな汽笛〉より《‘73 3/19 函館、大学に進む級友の歓送風景。輪踊りを始めた男子学生のむこうで、静かに別れを惜しんでいる女子学生の姿が印象的であった。》1971年 ⒸTadao Takiguchi

滝口忠雄〈遥かな汽笛〉より《‘73 3/19 函館、大学に進む級友の歓送風景。輪踊りを始めた男子学生のむこうで、静かに別れを惜しんでいる女子学生の姿が印象的であった。》1971年 ⒸTadao Takiguchi

 

滝口忠雄〈遥かな汽笛〉より《‘71 1/21 大館機関区 ボイラーの煙室にたまったススとり。》1971年 ⒸTadao Takiguchi

滝口忠雄〈遥かな汽笛〉より《‘71 1/21 大館機関区 ボイラーの煙室にたまったススとり。》1971年 ⒸTadao Takiguchi

第三部:日本の最高地点を走る高原列車・小海線

当館が位置する八ヶ岳を走るローカル線「JR小海線」に注目します。小海線には、昭和47年まで「高原のポニー」と呼ばれたC56型蒸気機関車が走っていました。地元で写真館を営んでいた植松波雄が捉えたC56の姿をはじめ、“ゆる鉄”で知られる中井精也による高原鉄道ならではの光溢れる風姿を展示します。観光客に愛され、また通勤・通学など実生活を支えて来た小海線の魅力を再考します。
 

滝口忠雄〈遥かな汽笛〉より《小海線 清里〜野辺山、機関車と緩急車だけ、今日の荷はなかった。現在、この鉄橋の後に国道の橋ができて、荒涼とした風景は消えた。》1972年 ⒸTadao Takiguchi

滝口忠雄〈遥かな汽笛〉より《小海線 清里〜野辺山、機関車と緩急車だけ、今日の荷はなかった。現在、この鉄橋の後に国道の橋ができて、荒涼とした風景は消えた。》1972年 ⒸTadao Takiguchi

 

植松波雄《小海線野辺山駅》1967年 ⒸNamio Uematsu

植松波雄《小海線野辺山駅》1967年 ⒸNamio Uematsu

 

中井精也《小海線 小淵沢〜甲斐小泉》2019年 ⒸSeiya Nakai

中井精也《小海線 小淵沢〜甲斐小泉》2019年 ⒸSeiya Nakai

 

中井精也《小海線 小淵沢〜甲斐小泉》2016年 ⒸSeiya Nakai

中井精也《小海線 小淵沢〜甲斐小泉》2016年 ⒸSeiya Nakai

第四部:鉄道の機能美 ─ 山下大祐によるNew Vision

「鉄道の乗り物としての機能美と、運行ダイヤなど路線が正確且つ安全に運行されている、目に見えない部分の機能美、その両方に魅せられている」と語る山下。また、偶然乗り合わせる人々と其々のライフスタイル、刻々と変わる光や自然環境。設計や運行の緻密さと、相反する人間らしい偶発的な要素が複雑に絡み合いながら動き続ける鉄道のダイナミズムと、全国津々浦々、血管のように地域に根ざした運行に、人は尽きぬ魅力を感じるのではないでしょうか。鉄道の機能美に呼応し、新たなヴィジョンを展開する山下の写真に、次世代の視点を探っていきます。
 

山下大祐《Portrait E4》2020年 ⒸDaisuke Yamashita

山下大祐《Portrait E4》2020年 ⒸDaisuke Yamashita

 

山下大祐《夢見る夜汽車》2022年 ⒸDaisuke Yamashita

山下大祐《夢見る夜汽車》2022年 ⒸDaisuke Yamashita

特別編:ねこ鉄、ジオラマ、撮り鉄広場

特別編として、猫のいるローカル線の風景をとらえた中井精也の<ねこ鉄>シリーズを展示します。日本の駅舎には日本猫が似合う、そんな感想も聞こえるような<ねこ鉄>に誰もが笑顔になるはず。写真作品以外にも、ジオラマ作家・鯉江充による1920~30年代アメリカの山岳鉄道をテーマとした精巧なジオラマを本展にて初めて特別公開。会期中ジオラマの撮影会を行うほか、来館者が自身の“鉄道愛”写真を館内に掲示し、公開できる「撮り鉄広場」を設置します。
 

中井精也〈ねこ鉄〉より《わたらせ渓谷鐵道 上神梅駅》2009年 ⒸSeiya Nakai

中井精也〈ねこ鉄〉より《わたらせ渓谷鐵道 上神梅駅》2009年 ⒸSeiya Nakai

 

鯉江充《GREEN VALLEY RAILWAY》(ジオラマ平面図)2016-23年 ⒸMichiru Koie

鯉江充《GREEN VALLEY RAILWAY》(ジオラマ平面図)2016-23年 ⒸMichiru Koie

 

鯉江充《GREEN VALLEY RAILWAY》(ジオラマ部分)2016-23年 ⒸMichiru Koie

鯉江充《GREEN VALLEY RAILWAY》(ジオラマ部分)2016-23年 ⒸMichiru Koie

会期中のイベント

鉄道愛関連

●8月5日(土)「アーティスト・トーク」*入館料のみ *予約不要
1)ジオラマ作家・鯉江充によるジオラマ撮影会/13:00~/展示室
2)山下大祐×瀬戸正人副館長/14:00〜/ガーデンテラス
3)滝口忠雄×雑誌「旅と鉄道」編集長・真柄智充/15:30~/ガーデンテラス
 
●9月2・3日(土・日)
中井精也「ゆる鉄画廊NOMAD清里」出店 9/2(土)10:00~18:00、9/3(日)10:00~16:00
&ギャラリー・トーク 14:00~ (両日) *入館料のみ *予約不要

ギャラリー・トークは入場料のみ、予約不要。両日とも中井氏が在廊いたします。
詳細は「ゆる鉄画廊NOMAD」ウェブサイトをご覧ください。
https://garou.ichitetsu.com/
 
●「撮り鉄広場」会期中:7月7日(金)~9月24日(日)
館内の「撮り鉄広場」にご自身の“鉄道愛”写真を掲示しませんか?
2Lサイズまでの写真1点をお持ちいただくと、入館料が500円に。
 
 

その他

●7月30日(日)
高校生写真ワークショップ/13:00~15:00/要予約

展示作家略歴

O. ウインストン・リンク

O. ウインストン・リンク (アメリカ、1914-2001)

ニューヨーク州ブルックリンに生まれる。広告写真家として勤務した後、1955年、ノーフォーク・アンド・ウエスタン鉄道の蒸気機関車の撮影を始め、5年間に約2,500枚を撮影。夜間に膨大な閃光電球を発光させて撮るという独自の手法でその多くを撮影し、漆黒の鉄の巨体をモノクロームの世界に封じ込めることに成功した。主な写真集に『Steam, Steel and Stars』(1987)、『The Last Steam Railroad in America: Photographs by O. Winston Link』(1995)などがある。2004年、バージニア州にリンクの名を冠した美術館が設立された。

写真:ジョージ・トム[アシスタント]とのセルフポートレート[左] 1956年 ⒸO. Winston Link Image Courtesy of the O. Winston Link Museum

広田尚敬

広田尚敬 (ひろた・なおたか、1935-)

東京都に生まれる。鉄道好きの少年として成長。1959年、米鉄道雑誌「TRAINS」に日本人初の特集が組まれる。1968年の初個展「蒸気機関車たち」が高い評価を得、鉄道写真の分野を広く社会に知らしめるきっかけとなった。日本鉄道写真作家協会の初代会長をつとめるなど“鉄道写真の神様”と呼ばれ、日本の鉄道写真界を牽引する。発行された写真集は150冊以上に及ぶ。鉄道150年を迎えた2022年より、70年におよぶ活動の集大成となる電子書籍『HIROTA SELECTION』を毎月刊行中。

滝口忠雄

滝口忠雄 (たきぐち・ただお、1946-)

東京都に生まれる。1964年、高校卒業と同時に国鉄に入社。電気機関車の機関助士になる。20代後半、仕事の合間を縫って全国の蒸気機関車の姿を追い、機関士の仕事場、機関車が運ぶ人々を捉えた。2008年まで40年余にわたり鉄道に携わる。写真集に『遥かな汽笛』(BeeBooks、1991年)、『国鉄「東京機関区」に生きた』(えにし書房、2014年)がある。2017年より雑誌「旅と鉄道」に「鉄道マンたちの青春劇場」を連載中。

写真:岡 明彦、1985年1月31日 品川構内回送2003レ発車待ち

植松波雄

植松波雄 (うえまつ・なみお、1912-2011)

山梨県北杜市高根町に生まれる。1939年、北杜市長坂町駅前通りにて「植松写真館」を開業。1949年頃より八ヶ岳山麓の風景・自然・文化の撮影を始める。峡北カメラクラブを設立し、地域の写真愛好家に農村風景など記録の重要性を啓蒙した。折々に写真の即売会を開催し、その収益を地元に寄付。1998年、山梨県が制定した初の文化賞奨励賞を受賞。写真集『ありし日の八ヶ岳南麓』(2000年)、『植松波雄の全仕事』(2005年)が発刊され、掲載した写真の原板は全て北杜市郷土資料館に寄贈された。

中井精也

中井精也 (なかい・せいや、1967-)

東京都に生まれる。車両にこだわらず独自の視点で鉄道を撮影し、「ゆる鉄」など新しい鉄道写真のジャンルを生み出した。2004年より鉄道写真を毎日撮影して公開するブログ「1日1鉄!」を継続中。日本全国を回りながら自らの作品を販売するギャラリー&ショップ「ゆる鉄画廊NOMAD」を展開中。「中井精也のてつたび!」/NHK BSプレミアムなどに出演中。2015年、講談社出版文化賞・写真賞、日本写真協会賞新人賞受賞。

山下大祐

山下大祐 (やました・だいすけ、1987-)

兵庫県に生まれる。日本大学芸術学部写真学科卒業。幼い頃からの鉄道好きがきっかけで写真と出会い、鉄道をフィールドとした写真家となる。工業製品、あるいは交通秩序としての幾何学的な鉄道に人や自然が介在する美しさに注目している。個展「描く鉄道。」(2021年)、「鉄道ビジュアリズム」(2022年)などを開催。自身の作品制作の他、車両カタログ、CM撮影に携わる他、鉄道誌、カメラ誌で撮影・執筆・講師を務める。日本鉄道写真作家協会(JRPS)会員。

鯉江充

鯉江 充 (こいえ・みちる、1956-)

北海道小樽市に生まれる。日本大学芸術学部写真学科卒業。1985年デザイン事務所を設立。父親の影響で幼少期より鉄道模型を作り始める。小学校3年の時に米模型雑誌で見たジョン・アレンによるG&D鉄道ジオラマに衝撃を受ける。また、ウォーカー・エヴァンスの写真に心動かされ、主にアメリカの1920年~30年代山岳鉄道をテーマに制作している。展示のジオラマは、1930年代アメリカのナローゲージ(線路幅が国際基準軌より狭い鉄道)をテーマに、車両を始め、森林鉄道や鉱山鉄道を併せて制作し、時代背景を詳細に表現している。

お問い合わせ

本展の詳細は学芸員・山地裕子 yamaji@kmopa.com
画像データにつきましては、info@kmopa.comTel: 0551-48-5599 までお問い合わせください。
 
ホームページ https://www.kmopa.com
ツイッター https://www.twitter.com/kmopa
フェイスブック https://www.facebook.com/kmopa
インスタグラム https://www.instagram.com/kmopa2023/
 
 

正誤表(訂正箇所:本展チラシ裏面)

チラシ裏面に掲載の作品タイトル表記に誤りがございました。謹んで御詫び申し上げますとともに、下記のとおり訂正させていただきます。
<誤>
1. 広田尚敬《快走1》1973年
3. 滝口忠雄〈遥かな汽笛〉より《’72 1/9 小海線~野辺山》1972年
<正>
滝口忠雄〈遥かな汽笛〉より《’72 1/9 小海線~野辺山》1972年
広田尚敬《快走1》1973年
 
 

 
 
清里フォトアートミュージアム Kiyosato Museum of Photographic Arts
〒407-0301 山梨県北杜市高根町清里3545-1222
Tel: 0551-48-5599 (代表) Fax: 0551-48-5445 Email: info@kmopa.com

「Platinum Print — 肖像の回廊」展

 

Platinum Print — 肖像の回廊 Platinum Print — 肖像の回廊

開催概要
展覧会名: Platinum Print — 肖像の回廊
会期: 2023年3月18日(土)~5月28日(日)
会場: 清里フォトアートミュージアム
主催: 清里フォトアートミュージアム委員会
特別協賛: 真如苑(社会貢献基金)
開館時間: 10:00~18:00(入館は17:30まで)
休館日: 毎週火曜日、ただし3月21日(火・祝)、5月2日(火)は開館
入館料: 一般800円(600円) 学生600円(400円) 高校生以下無料
( )内は20名様以上の団体料金 家族割引1,200円(2名~6名様まで)
アクセス: 車にて:中央自動車道須玉I.C.または長坂I.C.より車で約20分
J R:中央本線小淵沢駅にて小海線乗り換え 清里駅下車、車で約10分

「Platinum Print — 肖像の回廊」展を2023年3月18日(土)~5月28日(日)まで開催

 
清里フォトアートミュージアム(K・MoPA/ケイモパ、山梨県北杜市)は、2023年3月18日(土)から5月28日(日)まで「Platinum Print – 肖像の回廊」展を開催いたします。
 
プラチナ・プリントとは、19世紀に発明された古典技法のひとつです。多くの写真技法のなかでも、優美な色調と黒から白までの豊かな階調表現は比類なく、写真家を魅了してきました。
当館では、基本理念のひとつとして、プラチナ・プリントによる作品の収集と技法の継承につとめて参りました。
本展では、1878年制作の最古のプラチナ・プリントから2000年代の作品までを展示いたします。100年に及ぶポートレイトの多様な写真表現をご覧いただくとともに、プラチナ・プリントの気品溢れる優美な色調、繊細な光のグラデーション、ディテールの豊かさをお楽しみください。(約100点)

作品紹介

エドワード・S. カーティス(米、1868-1952)《ズニ族の首長》1905年頃

エドワード・S. カーティス(米、1868-1952)
《ズニ族の首長》1905年頃

ジョージ・H. シーリー(米、1880-1955)《乙女とボウル》1907年

ジョージ・H. シーリー(米、1880-1955)
《乙女とボウル》1907年

アルヴィン・ラングドン・コバーン(米/英、1882-1966)《花輪をかぶった乙女》1908年頃

アルヴィン・ラングドン・コバーン(米/英、1882-1966)
《花輪をかぶった乙女》1908年頃

クラレンス・H. ホワイト(米、1871-1925)《チャールズJr.とアリーン・リーブマン》1910年頃

クラレンス・H. ホワイト(米、1871-1925)
《チャールズJr.とアリーン・リーブマン》1910年頃

アントン・ヨーゼフ・トレチカ(オーストリア/チェコ、1893-1940)《画家エゴン・シーレの肖像》1914年 ©Kicken Berlin

アントン・ヨーゼフ・トレチカ(オーストリア/チェコ、1893-1940)
《画家エゴン・シーレの肖像》1914年 ©Kicken Berlin

エドワード・ウエストン(米、1886-1958)《盲目のひと(ラミエル・マクギー)》1922年

エドワード・ウエストン(米、1886-1958)
《盲目のひと(ラミエル・マクギー)》1922年

ドリス・ウルマン(米、1882-1934)《(無題)》1934年頃

ドリス・ウルマン(米、1882-1934)
《(無題)》1934年頃

ジェリー・N. ユルズマン(米、1934-2022)《無題》1976年 ©Jerry N. Uelsmann

ジェリー・N. ユルズマン(米、1934-2022)
《無題》1976年 ©Jerry N. Uelsmann

ルイス・ゴンサレス・パルマ(グアテマラ、1957-)《無題》1998年 ©Luis González Palma

ルイス・ゴンサレス・パルマ(グアテマラ、1957-)
《無題》1998年 ©Luis González Palma

プラチナ・プリントとは

鉄塩の感光性を利用し、プラチナ(塩化白金)と鉄塩を塗布した印画紙に露光する古典技法のひとつです。暖かみのある優美な色調、漆黒の黒と白の濃淡、階調の豊さ、保存性の高さが特徴です。感光性が低いため、ネガと印画紙を版画のように直接重ねて紫外線で焼き付けます。

20世紀初頭、短命に終わり、戦後甦った技法

プラチナ・プリントは、写真が誕生した1839年よりも前から実験が行われていましたが、イギリスの発明家ウイリアム・ウィリスによって特許が取得されたのは30年以上後の1873年でした。
 
ウィリスが販売した印画紙「プラチノタイプ」は高品質で、欧米で人気を博しましたが、第一次世界大戦時、プラチナが軍需産業の重要な金属として使われるようになり、印画紙の生産は停止され、作品も途絶えてしまいました。また、第二次大戦後は、銀塩の感度の高い印画紙、モノクロのゼラチン・シルバー・プリントが大量生産され、安価で引き伸ばしも可能なため、人々の関心は銀塩へ移ってしまいました。
 

ウイリアム・ウィリス・ジュニア(英、1841-1923)《田舎の小屋 (Rustic Cottage)》1878年

ウイリアム・ウィリス・ジュニア(英、1841-1923)
《田舎の小屋 (Rustic Cottage)》1878年

アーヴィング・ペンにより甦った技法

写真史上、遅れて登場し、最も美しいと愛された技法でありながら、あまりにも早く去ったプラチナ・プリント。一方、戦後の均一生産化したモノクロ印画紙に対して、個性的な表現技法を求め、その復活に困難をためらわずに情熱を注いたのが、アメリカの写真家アーヴィング・ペン(1917-2009)でした。1960年代後半より、ペンによって現代的な息吹を与えられたプラチナ・プリント作品が次々と発表されました。
 
ペンは、象徴的な言葉を残しています。「私は何年もの間、黙々と刷毛で感光剤を塗り、印画紙を一枚一枚用意してきた。何千時間と費やしたはずだ。完璧なプリントに到達することを目指して。」現在も既成の印画紙はなく、手塗りの技法が継承されています。本展ではペンによる作品7点を展示いたします。
 

アーヴィング・ペン(米、1917-2009)《マルセル・デュシャン、ニューヨーク》1948年 ©The Irving Penn Foundation

アーヴィング・ペン(米、1917-2009)
《マルセル・デュシャン、ニューヨーク》1948年
©The Irving Penn Foundation

見どころ

プラチナ・プリントは、いったん現像すると経年による変化はありません。私たちは撮影・現像時と全く変わらない写真と対面することができるのです。写真には撮影時の「光」と「時間」、そして写真家と被写体となった人々との「関係性」が封じ込められています。100年前の写真に刻まれた人々との出会い、そして彼らと向き合った写真家の眼差しは、時空を超えて、鑑賞者に濃密な体験をもたらすでしょう。

会期中の特別展

●ヴィヴィッドな発色が特徴のダイトランスファー技法による作品
ハロルド・エジャートン博士(米、1903-1990)の代表作10点(当館蔵)をご覧いただきます。エジャートン博士はストロボの発明者で、世界で初めて静止画像を捉えた“ミルクの王冠”で知られています。ダイトランスファーは、色鮮やかで保存性に優れたカラープリントでありながら、途絶えてしまった技法のひとつです。
 

ハロルド・エジャートン博士《ミルク・クラウン》1957年 © Harold Edgerton/MIT courtesy Palm Press, Inc.

ハロルド・エジャートン博士《ミルク・クラウン》1957年
© Harold Edgerton/MIT courtesy Palm Press, Inc.

ハロルド・エジャートン博士《りんごを突き抜ける30口径(7.62ミリ)の弾丸》1964年 © Harold Edgerton/MIT courtesy Palm Press, Inc.

ハロルド・エジャートン博士《りんごを突き抜ける30口径(7.62ミリ)の弾丸》1964年
© Harold Edgerton/MIT courtesy Palm Press, Inc.

ダイトランスファーとは:
ヴィヴィッドな発色としっとりと濡れたような質感が特徴のカラープリント技法です。
1946年にコダック社が発表したもので、染料転写方式プリントとも呼ばれます。
シアン、マゼンタ、イエロー各色の染料を含ませたマトリックスフィルムを、1枚の乳剤(ゼラチン)層に転染することによって画像を形成します。
安定性に優れ、写真家が最終的な色のバランスをコントロールすることができます。しかし、転染紙に見当を合わせて手作業で塗り重ねる作業は複雑で、熟練を要するものでした。そのため、希少価値の高いものとして、20世紀後半、多くのアーティストやコレクターを魅了しましたが、材料の生産終了にともない、1993年に途絶えてしまいました。

会期中のワークショップ

●瀬戸正人副館長による高校生写真ワークショップ 2023年も開催
高校1~3年生対象。個人、学校単位、どちらのご参加も自由です。
生徒が持参した作品データをプロジェクターに投影し、副館長の瀬戸正人(写真家)が講評をおこなう2時間のWSです。
2022年は全3回開催し、生徒自身が展示作業も経験。10名の作品を当館エントランスホールにて発表しました。
 

瀬戸正人副館長による高校生写真ワークショップ、2023年

 

瀬戸正人副館長による高校生写真ワークショップ、2023年

 
●WSの様子を公開中 → https://www.kmopa.com/category/highschool/
●WS動画はこちら → https://youtu.be/fDGNIB1R2p8(QRコードからもアクセスできます)
 

瀬戸正人副館長による高校生写真ワークショップ、2023年(動画サムネイル)

 

瀬戸正人副館長による高校生写真ワークショップ、2023年(動画のQRコード)

 
2023年のWS開催スケジュールは随時ウェブサイトにアップします。

次回展示のご案内

展覧会:「鉄道愛」
会期:2023年7月7日(金)~9月24日(日)
アメリカ最後の蒸気機関車の姿をとらえたO. ウインストン・リンク(1914-2001)と、日本を代表する鉄道写真家、広田尚敬(1936-)。当館収蔵作品より元祖「撮り鉄」の2人を紹介するほか、元国鉄マン・滝口忠雄が、職員の目線でとらえた70年代の「国鉄」、清里を走る高原列車・小海線など、鉄道愛あふれる写真展。特別編として「ねこ鉄」、また、1920-30年代アメリカ山岳鉄道をテーマとした精巧なジオラマも初公開。
 

O. ウインストン・リンク 《ナチュラル・ブリッジ駅に到着する列車No.2 バージニア州》1956年 Train No.2 Arrives at Natural Bridge Station, Virginia, 1956 © O. Winston Link Image Courtesy of the O. Winston Link Museum

O. ウインストン・リンク
《ナチュラル・ブリッジ駅に到着する列車No.2 バージニア州》1956年
Train No.2 Arrives at Natural Bridge Station, Virginia, 1956
© O. Winston Link Image Courtesy of the O. Winston Link Museum

お問い合わせ

本展の詳細は学芸員・山地裕子 yamaji@kmopa.com
画像データにつきましては、info@kmopa.comTel: 0551-48-5599 までお問い合わせください。
 
ホームページ https://www.kmopa.com
ツイッター https://www.twitter.com/kmopa
フェイスブック https://www.facebook.com/kmopa
インスタグラム https://www.instagram.com/kmopa2023/
 
清里フォトアートミュージアム Kiyosato Museum of Photographic Arts
〒407-0301 山梨県北杜市高根町清里3545-1222
Tel: 0551-48-5599 (代表) Fax: 0551-48-5445 Email: info@kmopa.com

 

2022年度ヤング・ポートフォリオ展

Young Portfolio Acquisitions 2022

2022年度ヤング・ポートフォリオ

 

開催概要
展覧会名: 2022年度ヤング・ポートフォリオ
会期: 2022年10月15日(土)~12月4日(日)
会場: 清里フォトアートミュージアム
主催: 清里フォトアートミュージアム委員会
特別協賛: 真如苑(社会貢献基金)
開館時間: 10:00~18:00(入館は17:30まで)
休館日: 毎週火曜日
入館料: 一般800円(600円) 学生600円(400円) 高校生以下無料
( )内は20名様以上の団体料金 家族割引1,200円(2名~6名様まで)
交通のご案内: 車にて:中央自動車道須玉I.C.または長坂I.C.より車で約20分
J R:中央本線小淵沢駅にて小海線乗り換え 清里駅下車、車で約10分

 
 

2022年度ヤング・ポートフォリオ(第28回)データ
選考委員: アントワン・ダガタ、野口里佳、瀬戸正人(副館長)、細江英公(館長)
作品募集期間: 2022年1月15日~2月15日
応募者数: 522人(世界51カ国より)
応募点数: 11,508点
購入者数: 24人(国内16人・海外8人 /8カ国)
日本/カナダ/中国/デンマーク/韓国/フィリピン/スウェーデン/ウクライナ
購入点数: 133点(全作品を展示いたします)

 
 

4人の選考委員の初期作品を展示

アントワン・ダガタ、野口里佳、瀬戸正人(副館長)、細江英公(館長)の初期作品、すなわち“選考委員のヤング・ポートフォリオ”作品(全18点)を同時に展示いたします。

選考風景

 
 
 

「2022年度ヤング・ポートフォリオ」を2022年10月15日(土)~12月4日(日)まで開催

北欧、ウクライナ、アジアから日本まで、2022年度収蔵作品133点を一堂に展示
コロナ禍を越えて青年の情熱が結集

清里フォトアートミュージアム(K・MoPA/ケイモパ、山梨県北杜市)は、10月15日(土)から12月4日(日)まで「2022年度ヤング・ポートフォリオ」展を開催いたします。
ヤング・ポートフォリオ(YP)とは、K・MoPAが開館以来毎年開催している、世界の35歳までの青年の作品を公募・購入・展示する文化活動です。本展では、世界51カ国、522人、11,508点の応募作品から厳選された、24人による133点を展示します。
コロナ禍の困難な状況下、2021年に引き続きフランスから選考委員として招聘したアントワン・ダガタは、本年ようやく来日が叶いました。世界的な困難を超えてK・MoPAに結集した若手写真家の情熱を、本展で感じていただければ幸いです。

 
 
 

2022年度ヤング・ポートフォリオ作品紹介

■マリー・ヴェングラー(デンマーク、1992)

ヴェングラーはコンセプチュアル写真家であると同時に、社会規範と私たちの行動との影響について探っている研究者です。〈除け者〉シリーズでは、異常な肉体やタブー視されるものを作家自身で変装・演出し、撮影しています。どこまでが正常で何が異常と見なされるのか?女性の肉体や心理の典型的なイメージを女性の視点から問い直そうとする作品です。

ヴェングラー

マリー・ヴェングラー Marie WENGLER(デンマーク、1992)
《除け者(4)》2021(全6点購入)

 
■イゴール・チョゴール(ウクライナ、2000)、オレクシー・チョイストーツィン(ウクライナ、2000)

ウクライナ・ハルキウ出身の二人は、トゥルーバ・グループ(Truba Group)という名称で活動をしている写真家です。ロシアの侵攻が始まった2022年2月24日、二人はハルキウを離れました。空爆によるパニックと混乱の中、二人の写真作品を入れた箱をキーウの友人のもとへ送りましたが、その友人も近く入隊するため、写真はウクライナ西部のチェルイニウツィーへ、そしてリビウへ送られ、そこからチェコへと移動しました。その間に、YP2022へ応募した作品画像が一次選考を通過したため、作品は最終的に日本に送られたのです。二人が故郷で撮影した写真が失われることのないよう、友人たちの手から手へと渡されてK・MoPAにたどり着いた二人の作品。プリントには過ぎ去った時への思いが込められています。

イゴール

イゴール・チョゴール Igor CHOGOL
《ニュー・ロマンティシズム 1 Truba Group》2021(全4点購入)

オレクシー

オレクシー・チョイストーツィン Oleksii CHYSTOTIN(ウクライナ、2000)
《戦前のハルキウ 2 Truba Group》2021(全4点購入)

 
■クリスチャン・バビスタ(フィリピン、1995)

フィリピン出身の写真家の作品が初購入となりました。短編映画も多数手がけ、映画賞も受賞している写真家。ミステリアスなイメージを展開し、答えのない質問を投げかけられているような魅力を湛えた作品群です。

バビスタ

クリスチャン・バビスタ Christian BABISTA(フィリピン、1995)
《無題》2020(全10点購入)

 
■川口 翼(日本、1999)

作品について作家は「(いずれ)死んでしまう事をぼんやりと意識しながら撮り下ろしたシリーズ」「写真が人間に寄り添うようもののように感じる時もあれば、裏切られたと感じる時もある」と語り、写真とともに生きることの奥深い意味を探求する意欲作です。22歳という若さが選考委員を驚かせ、「独自の世界が〈いま〉出来て行っている」(野口選考委員)と、今後への期待を表しました。

川口

川口 翼 KAWAGUCHI Tsubasa(日本、1999)
《天国の木》2021(全9点購入)

 
■スミン・シン(韓国、1994)

シンの作品では、被写体の顔が、撮影後にコラージュ(切り貼り)されており、写っている人の本当の顔なのかどうかさえわからなくなっています。写真は瞬間の表面的な概念を追求するものでありながら、果たして人間性の真の本質を表現しているのかどうか — 私たちは「写真の表皮を解体しようと試みた」と語るシンの作品に、「写真とは何か」という問いを突きつけられています。

シン・スミン

スミン・シン Sumin SHIN(韓国、1994)
《崇高なポートレイト》2019(全7点購入)

 
 
 

■YP2022作品購入作家

=過去のヤング・ポートフォリオでも作品を収蔵した作家

1)クリスチャン・バビスタ(フィリピン、1995)
2)卞敏(中国、1988)
3)イゴール・チョゴール(ウクライナ、2000)
4)オレクシー・チョイストーツィン(ウクライナ、2000)
5)淵上裕太(日本、1987)
6)石田浩亮(日本、1990)
7)石間秀耶(日本、1997)
8)狩野 萌(日本、1992)
9)川口 翼(日本、1999)
10)ニッコ・キナッシュ(スウェーデン、1992)
11)小松桃子(日本、1997)
12)久々利 涼(日本、1997)
13)久野梨沙(日本、1987)
14)前川光平(日本、1993)
15)中野翔大朗(日本、1989)
16)阪東美音(日本、1999)
17)スミン・シン(韓国、1994)
18)ソンジュ(カナダ、1998)
19)鈴木隼斗(日本、1993)
20)田島朋樹(日本、1988)
21)卯月梨沙(日本、1988)
22)マリー・ヴェングラー(デンマーク、1992)
23)山田 翼(日本、1987)
24)山本雅紀(日本、1989)

 
 
 

1)クリスチャン・バビスタ(フィリピン、1995)
《無題》2020 (全10点収蔵)

バビスタ

 

2)卞敏(中国、1988)
《普通の恋人》2021 (全4点収蔵)

卞敏

 

3)イゴール・チョゴール(ウクライナ、2000)
《ニュー・ロマンティシズム 1 Truba Group》2021 (全4点収蔵)

イゴール

 

4)オレクシー・チョイストーツィン(ウクライナ、2000)
《時代は本当に過ぎ去った 3 Truba Group》2021 (全4点収蔵)

チョイストーツィン

 

5)淵上裕太(日本、1987)
《東京・上野公園》2021 (全6点収蔵)

淵上

 

6)石田浩亮(日本、1990)
《Untitled from “きみは振動するエネルギー”》2018 (全6点収蔵)

石田

 

7)石間秀耶(日本、1997)
《ONOMICHI》2020 (全6点収蔵)

石間

 

8)狩野 萌(日本、1992)
《Remember me(私のことを忘れないで)》2019 (全8点収蔵)

狩野

 

9)川口 翼(日本、1999)
《天国の木》2021 (全9点収蔵)

川口

 

10)ニッコ・キナッシュ(スウェーデン、1992)
《フォルクンガガータン》2020 (全6点収蔵)

キナッシュ

 

11)小松桃子(日本、1997)
《悪夢と生き、死に触れる》2019 (全5点収蔵)

小松

 

12)久々利 涼(日本, 1997)
《「Chukyo」Nagakute-city, Aichi》2019 (全3点収蔵)

久々利

 

13)久野梨沙(日本、1987)
《木ートレート》2020 (全4点収蔵)

久野

 

14)前川光平(日本、1993)
《Yard 生体廃墟》2021 (全6点収蔵)

前川

 

15)中野翔大朗(日本、1989)
《温泉 / The Onsen(2018 / Tochigi)》2018 (全2点収蔵)

中野

 

16)阪東美音(日本、1999)
《裸々》2021 (全6点収蔵)

阪東

 

17)スミン・シン(韓国、1994)
《崇高なポートレイト #02》2019 (全7点収蔵)

シン・スミン

 

18)ソンジュ(カナダ、1998)
《無題》2021 (全6点収蔵)

ソンジュ

 

19)鈴木隼斗(日本、1993)
《unknown trip》2019 (全4点収蔵)

鈴木

 

20)田島朋樹(日本、1988)
《Planar State》2020 (全4点収蔵)

田島

 

21)卯月梨沙(日本、1988)
《幽明》2021 (全6点収蔵)

卯月

 

22)マリー・ヴェングラー(デンマーク、1992)
《除け者(4)》2021 (全6点収蔵)

ヴェングラー

 

23)山田 翼(日本、1987)
《Songs without Words》2017 (全6点収蔵)

山田

 

24)山本雅紀(日本、1989)
《我が家2》2021 (全5点収蔵)

山本

 
 
 

2022年度ヤング・ポートフォリオ選考委員

本年は、ヤング・ポートフォリオ史上初めて、選考委員に“YPOB(ヤング・ポートフォリオ卒業生)“である野口里佳氏を迎えた、記念すべき年となりました。野口氏は、大学院在学中に「1995年度(第一回)ヤング・ポートフォリオ」に応募し、3点の作品が収蔵となりました。また、フランスから招聘した選考委員アントワン・ダガタ氏は「YPは他のコンテストとは異なるユニークな体験だった」と語りました。
YPの特徴のひとつは、選考にあたるのが評論家やキュレーターではなく、写真家の先輩であり、現役の写真家であることです。選考委員は後進の作家の情熱を受け止めて背中を押し、若い作家たちは、選考委員からのフィードバックとエールを受け止めて、今後の制作活動に生かすことができるという貴重な場となります。

■選考風景は、当館ホームページ内「動画のページ」をご覧ください。(2分28秒)
 https://www.kmopa.com/category/video/

■展示内容の詳細は、当館ホームページ内「今後の展示」をご覧ください。
 https://www.kmopa.com/category/future/

 
 

選考委員略歴

アントワン・ダガタ

■アントワン・ダガタ(Antoine d’Agata, フランス、1961-)

フランス・マルセイユに生まれる。1980年頃から10年間、欧米、中米など世界各地を放浪。1990年、ニューヨークの国際写真センター(ICP)にて写真を学ぶ。2001年、ニエプス賞受賞。2004年、『Insomnia(不眠症)』で第20回東川賞・海外作家賞を受賞。2008年よりマグナム正会員。近年出版した写真集に『VIRUS』、『PRAXIS』などがある。
 
コメント「YPは、普通の選考ではありませんでした。選考委員皆で、若い写真家たちの声を聞き、考えていることを理解しようと試み、何をしたいのか助けてあげようという姿勢で臨むことができた。とても美しい経験でした。」

 

野口里佳

■野口里佳(日本、1970-)

埼玉県に生まれる。日本大学藝術学部写真学科大学院在学中に応募した「1995年度(第一回)ヤング・ポートフォリオ」にて〈座標感覚〉(1992)が購入となる。以後、欧米、アジアでも制作・発表を重ね、現代美術の国際展にも多数参加している。東京国立近代美術館、グッゲンハイム美術館など内外のパブリック・コレクション多数。那覇市在住。10月7日より東京都写真美術館にて「野口里佳 不思議な力」展が開催される。
 
コメント「(当時YPの応募要項を見て)作品を買い取るという今までにない公募の仕方に驚きました。自分の作品がきちんとお金になる、それが若い作家にとってどんな励みになることか。自分の作品そのものがお金に置き換わることが勇気になりました。」

 

瀬戸正人

■瀬戸正人(タイ/日本、1953-)

タイ国ウドーンタニ市に生まれ、後に父の故郷、福島県に移り住む。東京写真専門学校(現・東京ビジュアルアーツ)在学中に森山大道氏に大きな影響を受ける。深瀬昌久氏の助手を務めたのち独立。1987年、自らの発表の場としてギャラリー「PLACE M」を開設し、現在も運営中。第21回木村伊兵衛写真賞受賞。2021年4月清里フォトアートミュージアム副館長に就任。

 

細江英公

■細江英公(日本、1933-)

「薔薇刑」(1963)や「鎌鼬」(1968)など、特異な被写体との関係性から紡ぎ出された物語性の高い作品により戦後写真の転換期における中心的な存在となる。2003年、英国王立写真協会より創立150周年記念特別勲章を受章したほか、2010年、文化功労者。2017年、写真家として初めて生前に旭日重光章を受章した。1995年より当館初代館長。

 
 
 

関連印刷物&YPデータベース

YP2022小冊子(A5サイズ、32ページ)
各作家の作品数点、選考委員による対談や作品へのコメントを掲載。来館者には無料で配布いたします。

YPデータベースには、過去20年余にわたる世界の若手写真家による収蔵作品画像のほか、作家略歴、アーティスト・ ステートメントを掲載しています。作家名、収蔵年、国籍などで検索することができます。 様々な調査・研究の対象としてもご利用いただければ幸いです。 ▶︎▶︎▶︎ www.kmopa-yp.com

 
 

会期中のその他の展示

収蔵作品より:古典技法「プラチナ・プリント」による作品
本年開催した「高校生ワークショップ」からの作品

 
 

お問い合わせ

本展の詳細につきましては学芸員・山地裕子 yamaji@kmopa.com
掲載用画像データにつきましては、学芸員・ 綱 info@kmopa.com が承ります。

ホームページ https://www.kmopa.com
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清里フォトアートミュージアム Kiyosato Museum of Photographic Arts
〒407-0301 山梨県北杜市高根町清里3545-1222
Tel: 0551-48-5599 (代表) Fax: 0551-48-5445 Email: info@kmopa.com

 
 

2023年度ヤング・ポートフォリオ作品募集 YP’23

2023YP作品募集
<一次選考・データによる応募> 2023年1月10日〜2月20日(必着)
<二次選考(一次選考通過者のみ)・プリントによる応募> 2023年5月14日まで(必着)

2023年度選考委員
 今 道子、野口里佳、瀬戸正人(副館長)
[特別選考委員]
 細江英公(館長)

応募対象者は「1988年1月1日以降生まれ」の方です。

詳細および募集要項
 www.kmopa.com/yp_entry
 

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