2022年8月14日(日)13:00~14:00、「八ヶ岳の森から―心に残るたからもの」の展覧会作家、西村豊氏(自然写真家)によるギャラリー・トークを行いました。
コロナ禍を配慮して、ガーデンで開催した本イベントでは、自然写真家の西村豊氏が、40年間追い続けた、国の天然記念物「ヤマネ」やキツネ、そのほか野生動物を撮影した折に心にのこっている“たからもの”のようなエピソードを、ユーモアいっぱいに披露くださいました。参加された35名のお客さまは、10代~80代までと幅広い年齢層でした。
西村氏によれば、人なつっこいヤマネ、自分ではかくれているつもりなのに全身が見えている、ちょっとヌケたヤマネ。気が強く、6センチの体で西村氏を威嚇してくるヤマネもあったそうです。
一方、人間がかかわり方を一歩まちがうと、その個体を生存の危機に陥れてしまうこともあるようです。もし、自分の家や別荘にヤマネや巣を発見したら、すぐ市役所に通報することが大切です。ヤマネの場合、最終的には、救護の資格をもつ西村さんに連絡がはいります。
西村「冬眠中のヤマネをみつけてしまった人が、最初に何をすると思いますか?ほとんどの人が『寒そうだから』『動かないから』と、温めてしまう。それも人情ですが、ヤマネは動きまわらないことを前提とした冬眠のために、体温を下げています。温めると、体温が上がり動き出す。その結果、本来使うはずのないネルギーを消費して、体重が激減、数日で命を終えてしまうのです。どうか、触ったり温めたりしないでください」
西村「かわいいから、といって親子ヤマネの巣の中にカメラを突っ込んで撮影することもやめたほうがいいです。それをいやがった親が巣から家出する。育児放棄ですね。餌をもらえなくなったヤマネの子どもは死んでしまいます。みなさん、自分の家の壁を急にこわされて、大きなカメラで追い回されたら、毎日どんな気持ちでしょう?そう、イヤですよね。ヤマネだって大きなストレスですよね。負荷をかけないように、そっとしておいてあけてください。」
動物が生きる“現場”では、研究者の論理や常識とは別の出来事が日々おこっているとのこと。用心深くぬけめない性質のキツネは、本来、巣穴を隠し、人目にふれないように子どもを育てます。でも、西村氏は危害を加えない人、と、さとったある母ギツネは「ほら、撮りなさい」と、西村氏を導くかのように、様々な生活を撮影させてくれたそうです。野生動物のエリアに無理に踏み込まず、粘り強く見守るスタイルの西村さんの楽しいエピソード。皆さまも目を輝かせ、深々とうなずかれていました。
- 自然豊かな空間。屋外でのトークが内容とマッチしていて聞きやすかったです。(10代/40代)
- 今回のトークで初めてヤマネのことを聞き、もっと知りたいと思いました。(10代/50代)
- 動物にも性格や独自のコミュニティがある、というお話に興味をもちました。(20代)
- どきどきさせられるお話、西村先生ならではの魅力ある実体験を知ることができ、大変実りあるトークで共感しました。子どもたちにも自然を体験させたいと思います(50代)
- こうした自然教室があれば、夏休みに孫を連れてきたいです。(70代)
- 自然の大切さ、自然を知ることの大切さと共に自然をそのままにしておきたい、とも思いました。(70代)
皆さま、ご来場ありがとうございました。「八ヶ岳の森から―心に残るたからもの」展は、8月31日(水)まで、会期中無休となります。