●K・MoPA開館10周年記念チャリティ・イベント
「語り継ぎ、切り拓く」を終えて
2005年10月16日(日)、清里フォトアートミュージアム(K・MoPA)音楽堂にて、開館10周年記念チャリティ・イベント「語り継ぎ、切り拓く」を開催しました。
これは、戦後60年を迎えた本年、7月2日より行った開館10周年記念展「WWU―日本の敗戦:キャパ、スミス、スウォープ、三木淳の写真」のテーマに合わせ、戦争を知る世代と知らない世代が、共に平和について考えるきっかけになれば―との思いから、トーク、音、映像によって構成した2時間半のイベントです。
午後2時に開始した第一部では、作家で東京大空襲戦災資料センター館長でもある早乙女勝元氏の企画による映画『軍隊を捨てた国』のダイジェスト版を上映。
続く講演の中で、平和を訴える早乙女氏はこう語りました。
「戦争をしたいのは誰か、そして、実際に戦争の被害に遭うのは一体誰なのか。
過去の歴史をよく思い起こしてください。
私が12歳のときに経験した、あの東京大空襲で、多くの子ども、お年寄り、女性が犠牲になりました。いつの時代も、地球上のどこであれ、戦争を引き起こす人々は生き延び、弱い立場の人が死んでいく。
遺された人たちの苦しみと悲しみは何十年と続く。それが、戦争です。
もしみなさんが、自分は大丈夫、生き残れる立場にある、と思っていらっしゃるとしたら―『戦争に、例外というものはありません』と、申し上げたい。
始まってから気付いても、遅すぎることなのです。」
常日頃より、“戦争を知る者は語れ、知らなかったら学べ”、という姿勢を貫かれる早乙女氏の穏やかな語りの中から、戦争の愚かさと悲惨さを心に刻まれた方も多かったのではないでしょうか。
第二部は、津軽三味線界のカリスマといわれる木乃下真市氏の独奏でスタート、力強い生音が響きわたる会場に、心地よい緊張感が漂います。
クライマックスは、木乃下氏によると映像のコラボレーション。
この上映のために収蔵作品から当館学芸員がセレクトしたのは、ロバート・キャパ、ユージン・スミスがフィルムに焼き付けた戦場の現場、ジョン・スウォープの敗戦直後の逞しい日本人の表情、シベリア引揚者とその家族たちを捉えた三木淳のドキュメンタリー。壁面に天井に、縦横に浮かんでは消える作品は、木乃下氏の奏でる清冽な「津軽じょんから節」と相まって、会場を静かな熱気で包みました。
多くの方々のご支援をいただいて終了した本イベント。入場料収益は、毎年恒例の「アンコール小児病院」サポート・プロジェクトと同様、カンボジアの同病院に寄付いたしました。同病院を運営する特定非営利活動法人フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダーJAPAN代表の松島彰雄氏によると、本年12月、「アンコール小児病院」は、カンボジア国内の小児病院としては初めて、カンボジア保健省の承認を受け
「教育病院」に指定されました。
文責:広報主任 小川直美
写真:藤原佳子
●「日本の敗戦」展(富士フォトサロン/東京)を終えて
10月23日(日)にK・MoPAでの会期を終えた「日本の敗戦」展の一部を、東京・銀座の富士フォトサロンにて巡回展示しました。
「日本の敗戦1945-49年:ジョン・スウォープ、三木淳の写真」と題し、11月7日(月)〜11日(金)の5日間行った同展のオープニング・レセプションには、ジョン・スウォープのご子息マーク・スウォープ氏がアメリカから駆けつけてくださったほか、三木淳夫人の康子氏、ご息女の岡田麻理子氏もご来場くださいました。展示会場を訪れた1日約800名もの方々の中には「戦争で友人のすべてを失った」と、スウォープの作品の前で涙ぐむ80代の男性、食糧難だった敗戦直後を回想しながら作品を巡る70代のご夫婦をはじめ、多くの方々より率直なご感想をいただきました。
文責:広報主任 小川直美
●「プラチナ・プリント―光の誘惑U」展会期中のワークショップ
今回の受講は定員に達しました。キャンセル待ちをご希望の方、または次回ワークショップの際、優先して案内を希望されます方は、その旨お申し込みください。(2005年11月7日現在)
【プラチナ・プリント・ワークショップ】
実作品を見ながらの技法解説、ネガ作り、プリント現像などの実技を2日間にわたって行います。
●日時:2006年1月28日(土)・29日(日)の2日間
●講師:細江賢治(写真家)
●受講料:一般 30,000円/友の会 27,000円(友の会・会員優先)
●定員:12名 *参加はモノクロ・プリントの経験者に限らせていただきます。
参加ご希望の方は2006年1月14日(土)までに
下記までお申し込みください。
担当学芸員:田村泰男 Tel:0551-48-5598
●富士フォトサロン/東京にて K・MoPA10周年記念「日本の敗戦」展を開催
2005年10月23日にK・MoPAにて会期を終えた「日本の敗戦」展の一部を、富士フォトサロン/東京にて巡回展示いたします。
ジョン・スウォープによる1945年8-9月の日本97点と、1949年シベリア抑留の引揚者を記録した三木淳の「赤軍故郷に帰る」25点をぜひご高覧ください。
清里フォトアートミュージアム開館10周年記念展
「日本の敗戦1945-49年 ジョン・スウォープ、三木淳の写真」
会場:富士フォトサロン/東京
104-0061 東京都中央区銀座5-1 銀座ファイブ2F
TEL:03-3571-9411 会場:03-3571-0309
会期:2005年11月11日(金)〜17日(木)
開館時間:午前10時〜午後8時(最終日は午後2時まで)
入場無料