雲の上の王国といわれれるブータンの人びとは、「風は宇宙の息」と言い、独特の宗教世界観を持っています。また、世界で唯一の仏教を国教とした国です。ブータンでは、前国王が1986年に「GNP(Gross
National Product=国民総生産」ではなく「GNH(Gross National Happiness=国民総幸福)」を提唱し、物質的発展のために心の安らぎが損なわれてはならないことを信念に、独自の国作りが実践されています。GNHの世界観においては、環境や精神的、社会的な財産が重視されているのです。たとえば、1974年に宣言された森林政策には「国土の60パーセント以上を森林とする」と明記され、環境保護も国家の大きな柱となっています。