Young Portfolio Acquisitions 2021
会 期: 2022年3月19日(土)~5月30日(月)
会 場: 清里フォトアートミュージアム
主 催: 清里フォトアートミュージアム委員会
特別協賛:真如苑(社会貢献基金)
開館時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)
休 館 日: 毎週火曜日、但し5月3日は開館、 3月18日(金)までは冬季休館
■2021年度ヤング・ポートフォリオ(第27回)データ
選考委員:アントワン・ダガタ、金村 修、瀬戸正人(副館長)、細江英公(館長)
作品募集期間:2021年2月15日~3月15日
応募者数:278人(世界27カ国より) 応募点数:7,285点
購入者数:21人(国内9人・海外12人 /8カ国)
日本/アメリカ/中国/タイ/台湾/チェコ/ポーランド/ロシア
購入点数:106点(全作品を展示いたします)
東欧、米、アジアから日本まで、2021年度収蔵作品106点を一堂に展示
コロナ禍を越えて青年の情熱が結集
清里フォトアートミュージアム(K・MoPA/ケイモパ、山梨県北杜市)は、3月19日(土)から5月30日(月)まで「2021年度ヤング・ポートフォリオ」展を開催いたします。
ヤング・ポートフォリオ(YP)とは、K・MoPAが開館以来27年間毎年開催している、世界の35歳までの青年の作品を公募・購入・展示する文化活動です。本年も世界27カ国、278人、7,285点の応募作品のなかから厳選された、21人による106点を展示します。
2021年度YPの作品募集も、コロナ禍の困難な状況下に実施しました。フランスから選考委員として招聘したアントワン・ダガタは、来日ができませんでしたが、データによるジャッジに切り替え、無事に選考を終了しました。世界的な困難を超えてK・KMoPAに結集した若手写真家の情熱を、本展で感じていただければ幸いです。
■2021年度ヤング・ポートフォリオ(以下YP2021)の見どころ
購入者の21名は1986年から1997年に生まれた世代です。その作品の多くが、世界が初めて体験したコロナ禍の最中、2019年から2020年に制作されています。金村修選考委員は「閉塞感や生き辛さを感じる作品が多かった」と全体の印象を語りました。一方で、進化を続けるデジタル技術とは対極の、フィルムでしか表現できない色彩や独特の濁りを作品に取り入れたり、フィルム自体を直接糸で縫い合わせたり、敢えて“手”を加える作品が見られたことも特徴的でした。その変化から新たなコンセプトが生まれ、発展する可能性を感じることができます。本展より5人の作品をご紹介します。
■ジェシー・エグナー(アメリカ、1993)
「ぼくの心の裡にはいつもゲイと肉体の葛藤がある」と語るエグナー。不条理、ユーモア、不気味さなどを写真に捉えることが、自身の複雑なアイデンティティの揺らぎから上手く切り抜けるツールとなり、同時に作品の個性となっています。
■ピョートル・ズビエルスキ(ポーランド、1987)
YP2012からほぼ毎年収蔵しており、作品の総数は今回のYP2021で61点となります。ポーランド国内での撮影からインド・アジア・アフリカへと目を向け、壮大なオデッセイを展開していましたが、コロナ禍に入り、再びヨーロッパにて撮影。一貫して被写体への好奇心にあふれ、偶然性や普遍性、独特の暗さと謎めいたイメージが毎年選考委員の目を惹き付けています。
■アレクサンダー・エゴロフ(ロシア、1987)
「消費主義、失敗と欠陥の美学、現代の視覚言語に特に興味を持っている」と語るエゴロフ。今回はYP2017に次ぐ、2度目の収蔵となりました。前回はファッションを強く意識した作品でしたが、今回は、日常に埋もれるモノの魅力を強烈なストロボの光であぶり出しています。
■野々山裕樹(日本、1991)
入院時に、病室の机の上で、過去に撮影したモノクロフィルムを切断し、さらに透明テープや糸で縫い合わせたものがこの作品の原板となっています。フィルムの物質性を生かしながら、破壊と接合という不可逆的な行為により、複雑な印象をもたらしています。
■Ryu Ika(中国、1994)
複数のイメージをコラージュした作品を展示し、さらにその展示風景を撮影して作品化しています。また、複数の画像をデジタル処理した作品もあり、どちらも、それぞれのイメージが内包する“層”を強烈に露出させています。2021年度で3回目の購入となります。2018年度YPにおいて川田喜久治選考委員が「グロテスクな目を持った写真家」と評したRyu Ika。今回も独自の世界を力強く展開しています。
■YP2021作品購入作家
★=過去のヤング・ポートフォリオでも作品を収蔵した作家
1. ジェシー・エグナー Jesse EGNER(USA, 1993)
無題〈性同一化〉シリーズより 2019
Untitled, from “Disidentifications” series
2. 淵上裕太 FUCHIKAMI Yuta(Japan, 1987)★
東京・上野公園 2020
Ueno Park (Tokyo)
3. 韓雪 HAN Xue (China, 1997)
They call the year the future was to arrive(未来が到来する年と人は呼ぶ)2020
4. エリザベス・ハウスト Elizabeth HAUST(Russia, 1992)★
one, two, three, four…(1、2、3、4…) 2019
5. 林 朋奈 HAYASHI Tomona(Japan, 1986)
フラグメントライト 2019 Fragment light
6. シェリー・ホアン Sherry HUANG(Taiwan, 1986)★
The Dark I Cannot Name (Borges) 2018
名付けようのない闇(ボルヘス)
7. 狩野 萌 KANO Megumi(Japan, 1992)
MARIA Y MEGUMI SOUTH AMERICA 2016
8. ダーシャ・カレトニコワ Dasha KARETNIKOVA (Russia, 1996)
Quarantine_E53 2020
検疫_E53
9. クー・ジャーリー KOO Jia Lih (Taiwan, 1998)
Emerging from the wilderness 2019
荒れ地に出現する
10. 久野梨沙 KUNO Lisa (Japan, 1987)
木ートレート 2019
Portrait of the Tree
11. シャクリット・リーラチュポン
Chakrit LEELACHUPONG (Thailand, 1988)
The White Wall 2016
12. 前川光平 MAEKAWA Kohei (Japan, 1993)★
Yard(2021) No.4 2020
13. 七海 愛 NANAMI Chica (Japan, 1986)★
somewhere, anywhere, nowhere… 2020
14. 野々山裕樹 NONOYAMA Hiroki (Japan, 1991)
ICU 2018
15. Ryu Ika (China, 1994) ★
A part of u/me_did you see 2019
16. 富樫達也 TOGASHI Tatsuya (Japan, 1989)
像の旅 2018
Traveling Image
17. ヤン・ブラノブセキ Jan VRANOVSKÝ (Czech Republic, 1986)
Untitled (Parallel World series, Nobeoka, 2018)
無題(“パラレル・ワールド”シリーズより、延岡、2018)
18. 山本雅紀 YAMAMOTO Masaki (Japan, 1989)★
我が家2 2020
GUTS2
19. アレクサンドル・エゴロフ(ロシア、1987)★
Food (white tablecloth with pie and salad) 2018
食べ物(パイとサラダののった白いテーブルクロス)
20. ピョートル・ズビエルスキ Piotr ZBIERSKI (Poland, 1987)★
Untitled from Echoes Shades series 2017
無題〈木霊・翳〉シリーズより
21. アリョーナ・ランダーロワ Alena ZHANDAROVA (Russia, 1988)★
“The girl on the cupboard” from the series “The City of Brides” 2011
《戸棚の上の少女》〈花嫁たちの都市〉シリーズより
■4人の選考委員の初期作品を展示
アントワン・ダガタ、金村 修、瀬戸正人(副館長)、細江英公(館長)の初期作品、すなわち“選考委員のヤング・ポートフォリオ”作品(各5点、全20点)を、同時に展示いたします。
■選考委員略歴
■アントワン・ダガタ(Antoine d’Agata, フランス、1961-)
1961年、フランス・マルセイユに生まれる。1980年頃から10年間、ヨーロッパ、中米、アメリカなど世界各地を放浪。1990年、ニューヨークの国際写真センター(ICP)にて写真を学ぶ。2001年、ニエプス賞受賞。2004年、『Insomnia (不眠症)』で第20回東川賞・海外作家賞を受賞。2004年マグナムに参画、2008年より正会員。2020年1月、コロナ禍の現状を撮影した832ページにおよぶ写真集『VIRUS』を出版し、2021年11月には1986年から2021年の間メキシコを撮影した『PRAXIS』を出版した。
■金村 修(日本、1964-)
東京綜合写真専門学校在学中、新聞配達のアルバイトをしながら都市の風景を撮り始める。在学中に招待されたロッテルダム写真ビエンナーレを皮切りに内外にて発表活動を行う。1996年、世界の注目される6人の写真家のひとりに選ばれ、ニューヨーク近代美術館の「New Photography 12」に出品。日本写真協会新人賞、土門拳賞など受賞多数。近年は、カラー作品やインスタレーション、映像作品など幅広い展開を見せている。
■瀬戸正人(タイ/日本、1953-)
1953年、タイ国ウドーンタニ市に生まれ、1961年、父の故郷、福島県に移り住む。1975年、東京写真専門学校(現・東京ビジュアルアーツ)卒業。在学中、森山大道氏に大きな影響を受ける。森山氏の紹介で岡田正洋事務所に勤務し、コマーシャル撮影を学ぶ。深瀬昌久氏の助手を務めたのち独立。1983年「Bangkok 1983」にて初個展。1987年、自らの発表の場としてギャラリー「PLACE M」を開設し、現在も運営中。『《バンコク、ハノイ》1982-1987』で日本写真協会新人賞、〈Silent Mode〉と〈Living Room Tokyo 1989-1994〉で第21回木村伊兵衛写真賞受賞。自伝エッセイ『トオイと正人』で第12回新潮学芸賞受賞。近作に『binran』、『Cesium/Cs-137』などがある。展覧会「記憶の地図」(東京都写真美術館、2020年)に対して、2021年第37回写真の町東川賞国内作家賞を受賞。2021年4月清里フォトアートミュージアム副館長に就任。
■細江英公(日本、1933-)
舞踏家・土方巽を被写体とした「鎌鼬」や、三島由紀夫を被写体とした「薔薇刑」(1963)など、特異な被写体との関係性から紡ぎ出された物語性の高い作品により戦後写真の転換期における中心的な存在となる。東京工芸大学名誉教授。1995年より当館初代館長。2003年、「生涯にわたり写真芸術に多大な貢献をした写真家」として英国王立写真協会より創立150周年記念特別勲章を受章したほか、2010年、文化功労者。2017年、写真家として初めて生前に旭日重光章を受章した。
■関連印刷物&YPデータベース
❶YP2021小冊子(A5サイズ、32ページ)
各作家の作品数点、選考委員による対談や作品へのコメントを掲載。来館者には無料で配布いたします。
❷YPデータベースには、過去20年余にわたる世界の若手写真家による収蔵作品画像のほか、作家略歴、アーティスト・ ステートメントを掲載しています。作家名、収蔵年、国籍などで検索することができます。 様々な調査・研究の対象としてもご利用いただければ幸いです。▶︎▶︎▶︎www.kmopa-yp.com
2022年度ヤング・ポートフォリオ作品募集 YP’22
<一次選考・データによる応募> 2022年1月10日〜2月10日(必着)
*2022年度募集は終了いたしました!内外より多数のご応募、ありがとうございました。
<二次選考(一次選考通過者のみ)・プリントによる応募>
・2022年4月30日まで(必着)
[2022年度選考委員]アントワン・ダガタ、野口里佳、瀬戸正人(副館長)
[特別選考委員]細江英公(館長)
・本募集より応募料が無料となりました。
清里フォトアートミュージアムならびに若手写真家を支援する「ヤング・ポートフォリオ」(YP)は、1995年の開館以来、真如苑の社会貢献助成金により活動を行っています。この度の「2022年度ヤング・ポートフォリオ」募集にあたり、より多くの若手写真家に門戸を開くため、応募料を無料とさせていただきます。
・応募対象者は「1987年1月1日以降生まれ」の方です。
・詳細および募集要項:www.kmopa.com/yp_entry