O. ウインストン・リンク《バージニア州ナチュラル・ブリッジに到着する列車2号》1956年 ⒸO. Winston Link Image Courtesy of the O. Winston Link Museum
■開催概要 | |
展覧会名: | 「鉄道愛」 |
会期: | 2023年7月7日(金)~9月24日(日) |
会場: | 清里フォトアートミュージアム |
主催: | 清里フォトアートミュージアム委員会 |
特別協賛: | 真如苑(社会貢献基金) |
開館時間: | 10:00~18:00(入館は17:30まで) |
休館日: | 会期中7,8月は無休、9月は火曜休館 |
入館料: | 一般800円(600円) 学生600円(400円) 高校生以下無料 |
( )内は20名様以上の団体料金 家族割引1,200円(2名~6名様まで) | |
アクセス: | 車にて:中央自動車道須玉I.C.または長坂I.C.より車で約20分 |
J R:中央本線小淵沢駅にて小海線乗り換え 清里駅下車、車で約10分 |
鉄道写真のパイオニアから<ねこ鉄>、鉄道ジオラマまで、鉄道愛あふれる展覧会
清里フォトアートミュージアム(K・MoPA/ケイモパ、山梨県北杜市)は、2023年7月7日(金)から9月24日(日)まで「鉄道愛」を開催いたします。
乗り鉄、撮り鉄、食べ鉄 ─ 鉄道には非常に幅広い魅力があり、楽しみ方があります。なかでも撮影と鑑賞が一体となった撮り鉄は、その究極の形。あなたも心揺さぶる“鉄道愛”の世界を覗いてみませんか。
アメリカ最後の蒸気機関車の姿をとらえたO. ウインストン・リンクと、日本を代表する鉄道写真家、広田尚敬。当館収蔵作品より、“撮り鉄”の原点、二人のパイオニアを紹介するほか、元国鉄電気機関士・滝口忠雄が、運転士の目線でとらえた1970年代の国鉄、若手鉄道写真家・山下大祐が展開する新しいヴィジョン、“ゆる鉄”で知られる中井精也が捉えた高原列車JR小海線の色鮮やかな風姿など、鉄道愛あふれる写真展です。特別編として<ねこ鉄>、また、1920年代アメリカ山岳鉄道をテーマとした精巧なジオラマも初公開します。
(展示点数:156点、ジオラマを除く)
展示構成
第一部:“撮り鉄”はいかにして生まれたか ─ 鉄道写真のパイオニア展示構成
O. ウインストン・リンク、広田尚敬
鉄道が支える生活や景観を記録し、優れた作品を残したレジェンドたち。消え行くアメリカの蒸気機関車を、敢えて夜間に膨大な閃光電球(フラッシュバルブ)を焚いて撮影したO. ウインストン・リンクと、日本の鉄道写真のパイオニアであり、“表現”の場を切り拓いた広田尚敬のSLをご覧いただきます。
O. ウインストン・リンク《ヘッドライトを清掃するJ. W. ダールハウス、バージニア州ロアノーク、シェーファーズ・クロッシング》1955年 ⒸO. Winston Link Image Courtesy of the O. Winston Link Museum
O. ウインストン・リンク《ホークスビル川の水遊び、バージニア州ハーレー》1956年 ⒸO. Winston Link Image Courtesy of the O. Winston Link Museum
広田尚敬《快走1》1973年 ⒸNaotaka Hirota
広田尚敬《雪嶺》1965年 ⒸNaotaka Hirota
第二部:国鉄の時代 ─ 滝口忠雄〈遥かな汽笛〉
「鉄路を愛し、鉄路の労働を愛し、そこに働く人々の人間の絆を愛し、人々の生活とともにあった鉄路を愛した」
元国鉄電気機関士・滝口忠雄が捉えた蒸気機関車最後の時代 —— 1970年前後のSL、乗務員、そして昭和の日常を展示します。蒸気機関車の運行には、設備と人手がかかり、息の合った二人でなければ運転もできませんでした。厳しい労働条件でありながら、国鉄の仕事を愛した異色の写真家・滝口の青春の日々が鮮やかに描かれています。
滝口忠雄〈遥かな汽笛〉より《‘71 1/25 花輪線 竜ヶ森、安全への証、タブレットの授受。》1971年 ⒸTadao Takiguchi
滝口忠雄〈遥かな汽笛〉より《‘73 3/19 函館、大学に進む級友の歓送風景。輪踊りを始めた男子学生のむこうで、静かに別れを惜しんでいる女子学生の姿が印象的であった。》1971年 ⒸTadao Takiguchi
滝口忠雄〈遥かな汽笛〉より《‘71 1/21 大館機関区 ボイラーの煙室にたまったススとり。》1971年 ⒸTadao Takiguchi
第三部:日本の最高地点を走る高原列車・小海線
当館が位置する八ヶ岳を走るローカル線「JR小海線」に注目します。小海線には、昭和47年まで「高原のポニー」と呼ばれたC56型蒸気機関車が走っていました。地元で写真館を営んでいた植松波雄が捉えたC56の姿をはじめ、“ゆる鉄”で知られる中井精也による高原鉄道ならではの光溢れる風姿を展示します。観光客に愛され、また通勤・通学など実生活を支えて来た小海線の魅力を再考します。
滝口忠雄〈遥かな汽笛〉より《小海線 清里〜野辺山、機関車と緩急車だけ、今日の荷はなかった。現在、この鉄橋の後に国道の橋ができて、荒涼とした風景は消えた。》1972年 ⒸTadao Takiguchi
植松波雄《小海線野辺山駅》1967年 ⒸNamio Uematsu
中井精也《小海線 小淵沢〜甲斐小泉》2019年 ⒸSeiya Nakai
中井精也《小海線 小淵沢〜甲斐小泉》2016年 ⒸSeiya Nakai
第四部:鉄道の機能美 ─ 山下大祐によるNew Vision
「鉄道の乗り物としての機能美と、運行ダイヤなど路線が正確且つ安全に運行されている、目に見えない部分の機能美、その両方に魅せられている」と語る山下。また、偶然乗り合わせる人々と其々のライフスタイル、刻々と変わる光や自然環境。設計や運行の緻密さと、相反する人間らしい偶発的な要素が複雑に絡み合いながら動き続ける鉄道のダイナミズムと、全国津々浦々、血管のように地域に根ざした運行に、人は尽きぬ魅力を感じるのではないでしょうか。鉄道の機能美に呼応し、新たなヴィジョンを展開する山下の写真に、次世代の視点を探っていきます。
山下大祐《Portrait E4》2020年 ⒸDaisuke Yamashita
山下大祐《夢見る夜汽車》2022年 ⒸDaisuke Yamashita
特別編:ねこ鉄、ジオラマ、撮り鉄広場
特別編として、猫のいるローカル線の風景をとらえた中井精也の<ねこ鉄>シリーズを展示します。日本の駅舎には日本猫が似合う、そんな感想も聞こえるような<ねこ鉄>に誰もが笑顔になるはず。写真作品以外にも、ジオラマ作家・鯉江充による1920~30年代アメリカの山岳鉄道をテーマとした精巧なジオラマを本展にて初めて特別公開。会期中ジオラマの撮影会を行うほか、来館者が自身の“鉄道愛”写真を館内に掲示し、公開できる「撮り鉄広場」を設置します。
中井精也〈ねこ鉄〉より《わたらせ渓谷鐵道 上神梅駅》2009年 ⒸSeiya Nakai
鯉江充《GREEN VALLEY RAILWAY》(ジオラマ平面図)2016-23年 ⒸMichiru Koie
鯉江充《GREEN VALLEY RAILWAY》(ジオラマ部分)2016-23年 ⒸMichiru Koie
会期中のイベント
■鉄道愛関連
●8月5日(土)「アーティスト・トーク」*入館料のみ *予約不要
1)ジオラマ作家・鯉江充によるジオラマ撮影会/13:00~/展示室
2)山下大祐×瀬戸正人副館長/14:00〜/ガーデンテラス
3)滝口忠雄×雑誌「旅と鉄道」編集長・真柄智充/15:30~/ガーデンテラス
●9月2・3日(土・日)
中井精也「ゆる鉄画廊NOMAD清里」出店 9/2(土)10:00~18:00、9/3(日)10:00~16:00
&ギャラリー・トーク 14:00~ (両日) *入館料のみ *予約不要
ギャラリー・トークは入場料のみ、予約不要。両日とも中井氏が在廊いたします。
詳細は「ゆる鉄画廊NOMAD」ウェブサイトをご覧ください。
https://garou.ichitetsu.com/
●「撮り鉄広場」会期中:7月7日(金)~9月24日(日)
館内の「撮り鉄広場」にご自身の“鉄道愛”写真を掲示しませんか?
2Lサイズまでの写真1点をお持ちいただくと、入館料が500円に。
■その他
●7月30日(日)
高校生写真ワークショップ/13:00~15:00/要予約
展示作家略歴
O. ウインストン・リンク (アメリカ、1914-2001)
ニューヨーク州ブルックリンに生まれる。広告写真家として勤務した後、1955年、ノーフォーク・アンド・ウエスタン鉄道の蒸気機関車の撮影を始め、5年間に約2,500枚を撮影。夜間に膨大な閃光電球を発光させて撮るという独自の手法でその多くを撮影し、漆黒の鉄の巨体をモノクロームの世界に封じ込めることに成功した。主な写真集に『Steam, Steel and Stars』(1987)、『The Last Steam Railroad in America: Photographs by O. Winston Link』(1995)などがある。2004年、バージニア州にリンクの名を冠した美術館が設立された。
写真:ジョージ・トム[アシスタント]とのセルフポートレート[左] 1956年 ⒸO. Winston Link Image Courtesy of the O. Winston Link Museum
広田尚敬 (ひろた・なおたか、1935-)
東京都に生まれる。鉄道好きの少年として成長。1959年、米鉄道雑誌「TRAINS」に日本人初の特集が組まれる。1968年の初個展「蒸気機関車たち」が高い評価を得、鉄道写真の分野を広く社会に知らしめるきっかけとなった。日本鉄道写真作家協会の初代会長をつとめるなど“鉄道写真の神様”と呼ばれ、日本の鉄道写真界を牽引する。発行された写真集は150冊以上に及ぶ。鉄道150年を迎えた2022年より、70年におよぶ活動の集大成となる電子書籍『HIROTA SELECTION』を毎月刊行中。
滝口忠雄 (たきぐち・ただお、1946-)
東京都に生まれる。1964年、高校卒業と同時に国鉄に入社。電気機関車の機関助士になる。20代後半、仕事の合間を縫って全国の蒸気機関車の姿を追い、機関士の仕事場、機関車が運ぶ人々を捉えた。2008年まで40年余にわたり鉄道に携わる。写真集に『遥かな汽笛』(BeeBooks、1991年)、『国鉄「東京機関区」に生きた』(えにし書房、2014年)がある。2017年より雑誌「旅と鉄道」に「鉄道マンたちの青春劇場」を連載中。
写真:岡 明彦、1985年1月31日 品川構内回送2003レ発車待ち
植松波雄 (うえまつ・なみお、1912-2011)
山梨県北杜市高根町に生まれる。1939年、北杜市長坂町駅前通りにて「植松写真館」を開業。1949年頃より八ヶ岳山麓の風景・自然・文化の撮影を始める。峡北カメラクラブを設立し、地域の写真愛好家に農村風景など記録の重要性を啓蒙した。折々に写真の即売会を開催し、その収益を地元に寄付。1998年、山梨県が制定した初の文化賞奨励賞を受賞。写真集『ありし日の八ヶ岳南麓』(2000年)、『植松波雄の全仕事』(2005年)が発刊され、掲載した写真の原板は全て北杜市郷土資料館に寄贈された。
中井精也 (なかい・せいや、1967-)
東京都に生まれる。車両にこだわらず独自の視点で鉄道を撮影し、「ゆる鉄」など新しい鉄道写真のジャンルを生み出した。2004年より鉄道写真を毎日撮影して公開するブログ「1日1鉄!」を継続中。日本全国を回りながら自らの作品を販売するギャラリー&ショップ「ゆる鉄画廊NOMAD」を展開中。「中井精也のてつたび!」/NHK BSプレミアムなどに出演中。2015年、講談社出版文化賞・写真賞、日本写真協会賞新人賞受賞。
山下大祐 (やました・だいすけ、1987-)
兵庫県に生まれる。日本大学芸術学部写真学科卒業。幼い頃からの鉄道好きがきっかけで写真と出会い、鉄道をフィールドとした写真家となる。工業製品、あるいは交通秩序としての幾何学的な鉄道に人や自然が介在する美しさに注目している。個展「描く鉄道。」(2021年)、「鉄道ビジュアリズム」(2022年)などを開催。自身の作品制作の他、車両カタログ、CM撮影に携わる他、鉄道誌、カメラ誌で撮影・執筆・講師を務める。日本鉄道写真作家協会(JRPS)会員。
鯉江 充 (こいえ・みちる、1956-)
北海道小樽市に生まれる。日本大学芸術学部写真学科卒業。1985年デザイン事務所を設立。父親の影響で幼少期より鉄道模型を作り始める。小学校3年の時に米模型雑誌で見たジョン・アレンによるG&D鉄道ジオラマに衝撃を受ける。また、ウォーカー・エヴァンスの写真に心動かされ、主にアメリカの1920年~30年代山岳鉄道をテーマに制作している。展示のジオラマは、1930年代アメリカのナローゲージ(線路幅が国際基準軌より狭い鉄道)をテーマに、車両を始め、森林鉄道や鉱山鉄道を併せて制作し、時代背景を詳細に表現している。
お問い合わせ
本展の詳細は学芸員・山地裕子 yamaji@kmopa.com 、
画像データにつきましては、info@kmopa.com / Tel: 0551-48-5599 までお問い合わせください。
ホームページ https://www.kmopa.com
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インスタグラム https://www.instagram.com/kmopa2023/
■正誤表(訂正箇所:本展チラシ裏面)■
チラシ裏面に掲載の作品タイトル表記に誤りがございました。謹んで御詫び申し上げますとともに、下記のとおり訂正させていただきます。
<誤>
1. 広田尚敬《快走1》1973年
3. 滝口忠雄〈遥かな汽笛〉より《’72 1/9 小海線~野辺山》1972年
<正>
❶滝口忠雄〈遥かな汽笛〉より《’72 1/9 小海線~野辺山》1972年
❸広田尚敬《快走1》1973年
清里フォトアートミュージアム Kiyosato Museum of Photographic Arts
〒407-0301 山梨県北杜市高根町清里3545-1222
Tel: 0551-48-5599 (代表) Fax: 0551-48-5445 Email: info@kmopa.com