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2022年度ヤング・ポートフォリオ展

Young Portfolio Acquisitions 2022

2022年度ヤング・ポートフォリオ

 

開催概要
展覧会名: 2022年度ヤング・ポートフォリオ
会期: 2022年10月15日(土)~12月4日(日)
会場: 清里フォトアートミュージアム
主催: 清里フォトアートミュージアム委員会
特別協賛: 真如苑(社会貢献基金)
開館時間: 10:00~18:00(入館は17:30まで)
休館日: 毎週火曜日
入館料: 一般800円(600円) 学生600円(400円) 高校生以下無料
( )内は20名様以上の団体料金 家族割引1,200円(2名~6名様まで)
交通のご案内: 車にて:中央自動車道須玉I.C.または長坂I.C.より車で約20分
J R:中央本線小淵沢駅にて小海線乗り換え 清里駅下車、車で約10分

 
 

2022年度ヤング・ポートフォリオ(第28回)データ
選考委員: アントワン・ダガタ、野口里佳、瀬戸正人(副館長)、細江英公(館長)
作品募集期間: 2022年1月15日~2月15日
応募者数: 522人(世界51カ国より)
応募点数: 11,508点
購入者数: 24人(国内16人・海外8人 /8カ国)
日本/カナダ/中国/デンマーク/韓国/フィリピン/スウェーデン/ウクライナ
購入点数: 133点(全作品を展示いたします)

 
 

4人の選考委員の初期作品を展示

アントワン・ダガタ、野口里佳、瀬戸正人(副館長)、細江英公(館長)の初期作品、すなわち“選考委員のヤング・ポートフォリオ”作品(全18点)を同時に展示いたします。

選考風景

 
 
 

「2022年度ヤング・ポートフォリオ」を2022年10月15日(土)~12月4日(日)まで開催

北欧、ウクライナ、アジアから日本まで、2022年度収蔵作品133点を一堂に展示
コロナ禍を越えて青年の情熱が結集

清里フォトアートミュージアム(K・MoPA/ケイモパ、山梨県北杜市)は、10月15日(土)から12月4日(日)まで「2022年度ヤング・ポートフォリオ」展を開催いたします。
ヤング・ポートフォリオ(YP)とは、K・MoPAが開館以来毎年開催している、世界の35歳までの青年の作品を公募・購入・展示する文化活動です。本展では、世界51カ国、522人、11,508点の応募作品から厳選された、24人による133点を展示します。
コロナ禍の困難な状況下、2021年に引き続きフランスから選考委員として招聘したアントワン・ダガタは、本年ようやく来日が叶いました。世界的な困難を超えてK・MoPAに結集した若手写真家の情熱を、本展で感じていただければ幸いです。

 
 
 

2022年度ヤング・ポートフォリオ作品紹介

■マリー・ヴェングラー(デンマーク、1992)

ヴェングラーはコンセプチュアル写真家であると同時に、社会規範と私たちの行動との影響について探っている研究者です。〈除け者〉シリーズでは、異常な肉体やタブー視されるものを作家自身で変装・演出し、撮影しています。どこまでが正常で何が異常と見なされるのか?女性の肉体や心理の典型的なイメージを女性の視点から問い直そうとする作品です。

ヴェングラー

マリー・ヴェングラー Marie WENGLER(デンマーク、1992)
《除け者(4)》2021(全6点購入)

 
■イゴール・チョゴール(ウクライナ、2000)、オレクシー・チョイストーツィン(ウクライナ、2000)

ウクライナ・ハルキウ出身の二人は、トゥルーバ・グループ(Truba Group)という名称で活動をしている写真家です。ロシアの侵攻が始まった2022年2月24日、二人はハルキウを離れました。空爆によるパニックと混乱の中、二人の写真作品を入れた箱をキーウの友人のもとへ送りましたが、その友人も近く入隊するため、写真はウクライナ西部のチェルイニウツィーへ、そしてリビウへ送られ、そこからチェコへと移動しました。その間に、YP2022へ応募した作品画像が一次選考を通過したため、作品は最終的に日本に送られたのです。二人が故郷で撮影した写真が失われることのないよう、友人たちの手から手へと渡されてK・MoPAにたどり着いた二人の作品。プリントには過ぎ去った時への思いが込められています。

イゴール

イゴール・チョゴール Igor CHOGOL
《ニュー・ロマンティシズム 1 Truba Group》2021(全4点購入)

オレクシー

オレクシー・チョイストーツィン Oleksii CHYSTOTIN(ウクライナ、2000)
《戦前のハルキウ 2 Truba Group》2021(全4点購入)

 
■クリスチャン・バビスタ(フィリピン、1995)

フィリピン出身の写真家の作品が初購入となりました。短編映画も多数手がけ、映画賞も受賞している写真家。ミステリアスなイメージを展開し、答えのない質問を投げかけられているような魅力を湛えた作品群です。

バビスタ

クリスチャン・バビスタ Christian BABISTA(フィリピン、1995)
《無題》2020(全10点購入)

 
■川口 翼(日本、1999)

作品について作家は「(いずれ)死んでしまう事をぼんやりと意識しながら撮り下ろしたシリーズ」「写真が人間に寄り添うようもののように感じる時もあれば、裏切られたと感じる時もある」と語り、写真とともに生きることの奥深い意味を探求する意欲作です。22歳という若さが選考委員を驚かせ、「独自の世界が〈いま〉出来て行っている」(野口選考委員)と、今後への期待を表しました。

川口

川口 翼 KAWAGUCHI Tsubasa(日本、1999)
《天国の木》2021(全9点購入)

 
■スミン・シン(韓国、1994)

シンの作品では、被写体の顔が、撮影後にコラージュ(切り貼り)されており、写っている人の本当の顔なのかどうかさえわからなくなっています。写真は瞬間の表面的な概念を追求するものでありながら、果たして人間性の真の本質を表現しているのかどうか — 私たちは「写真の表皮を解体しようと試みた」と語るシンの作品に、「写真とは何か」という問いを突きつけられています。

シン・スミン

スミン・シン Sumin SHIN(韓国、1994)
《崇高なポートレイト》2019(全7点購入)

 
 
 

■YP2022作品購入作家

=過去のヤング・ポートフォリオでも作品を収蔵した作家

1)クリスチャン・バビスタ(フィリピン、1995)
2)卞敏(中国、1988)
3)イゴール・チョゴール(ウクライナ、2000)
4)オレクシー・チョイストーツィン(ウクライナ、2000)
5)淵上裕太(日本、1987)
6)石田浩亮(日本、1990)
7)石間秀耶(日本、1997)
8)狩野 萌(日本、1992)
9)川口 翼(日本、1999)
10)ニッコ・キナッシュ(スウェーデン、1992)
11)小松桃子(日本、1997)
12)久々利 涼(日本、1997)
13)久野梨沙(日本、1987)
14)前川光平(日本、1993)
15)中野翔大朗(日本、1989)
16)阪東美音(日本、1999)
17)スミン・シン(韓国、1994)
18)ソンジュ(カナダ、1998)
19)鈴木隼斗(日本、1993)
20)田島朋樹(日本、1988)
21)卯月梨沙(日本、1988)
22)マリー・ヴェングラー(デンマーク、1992)
23)山田 翼(日本、1987)
24)山本雅紀(日本、1989)

 
 
 

1)クリスチャン・バビスタ(フィリピン、1995)
《無題》2020 (全10点収蔵)

バビスタ

 

2)卞敏(中国、1988)
《普通の恋人》2021 (全4点収蔵)

卞敏

 

3)イゴール・チョゴール(ウクライナ、2000)
《ニュー・ロマンティシズム 1 Truba Group》2021 (全4点収蔵)

イゴール

 

4)オレクシー・チョイストーツィン(ウクライナ、2000)
《時代は本当に過ぎ去った 3 Truba Group》2021 (全4点収蔵)

チョイストーツィン

 

5)淵上裕太(日本、1987)
《東京・上野公園》2021 (全6点収蔵)

淵上

 

6)石田浩亮(日本、1990)
《Untitled from “きみは振動するエネルギー”》2018 (全6点収蔵)

石田

 

7)石間秀耶(日本、1997)
《ONOMICHI》2020 (全6点収蔵)

石間

 

8)狩野 萌(日本、1992)
《Remember me(私のことを忘れないで)》2019 (全8点収蔵)

狩野

 

9)川口 翼(日本、1999)
《天国の木》2021 (全9点収蔵)

川口

 

10)ニッコ・キナッシュ(スウェーデン、1992)
《フォルクンガガータン》2020 (全6点収蔵)

キナッシュ

 

11)小松桃子(日本、1997)
《悪夢と生き、死に触れる》2019 (全5点収蔵)

小松

 

12)久々利 涼(日本, 1997)
《「Chukyo」Nagakute-city, Aichi》2019 (全3点収蔵)

久々利

 

13)久野梨沙(日本、1987)
《木ートレート》2020 (全4点収蔵)

久野

 

14)前川光平(日本、1993)
《Yard 生体廃墟》2021 (全6点収蔵)

前川

 

15)中野翔大朗(日本、1989)
《温泉 / The Onsen(2018 / Tochigi)》2018 (全2点収蔵)

中野

 

16)阪東美音(日本、1999)
《裸々》2021 (全6点収蔵)

阪東

 

17)スミン・シン(韓国、1994)
《崇高なポートレイト #02》2019 (全7点収蔵)

シン・スミン

 

18)ソンジュ(カナダ、1998)
《無題》2021 (全6点収蔵)

ソンジュ

 

19)鈴木隼斗(日本、1993)
《unknown trip》2019 (全4点収蔵)

鈴木

 

20)田島朋樹(日本、1988)
《Planar State》2020 (全4点収蔵)

田島

 

21)卯月梨沙(日本、1988)
《幽明》2021 (全6点収蔵)

卯月

 

22)マリー・ヴェングラー(デンマーク、1992)
《除け者(4)》2021 (全6点収蔵)

ヴェングラー

 

23)山田 翼(日本、1987)
《Songs without Words》2017 (全6点収蔵)

山田

 

24)山本雅紀(日本、1989)
《我が家2》2021 (全5点収蔵)

山本

 
 
 

2022年度ヤング・ポートフォリオ選考委員

本年は、ヤング・ポートフォリオ史上初めて、選考委員に“YPOB(ヤング・ポートフォリオ卒業生)“である野口里佳氏を迎えた、記念すべき年となりました。野口氏は、大学院在学中に「1995年度(第一回)ヤング・ポートフォリオ」に応募し、3点の作品が収蔵となりました。また、フランスから招聘した選考委員アントワン・ダガタ氏は「YPは他のコンテストとは異なるユニークな体験だった」と語りました。
YPの特徴のひとつは、選考にあたるのが評論家やキュレーターではなく、写真家の先輩であり、現役の写真家であることです。選考委員は後進の作家の情熱を受け止めて背中を押し、若い作家たちは、選考委員からのフィードバックとエールを受け止めて、今後の制作活動に生かすことができるという貴重な場となります。

■選考風景は、当館ホームページ内「動画のページ」をご覧ください。(2分28秒)
 https://www.kmopa.com/category/video/

■展示内容の詳細は、当館ホームページ内「今後の展示」をご覧ください。
 https://www.kmopa.com/category/future/

 
 

選考委員略歴

アントワン・ダガタ

■アントワン・ダガタ(Antoine d’Agata, フランス、1961-)

フランス・マルセイユに生まれる。1980年頃から10年間、欧米、中米など世界各地を放浪。1990年、ニューヨークの国際写真センター(ICP)にて写真を学ぶ。2001年、ニエプス賞受賞。2004年、『Insomnia(不眠症)』で第20回東川賞・海外作家賞を受賞。2008年よりマグナム正会員。近年出版した写真集に『VIRUS』、『PRAXIS』などがある。
 
コメント「YPは、普通の選考ではありませんでした。選考委員皆で、若い写真家たちの声を聞き、考えていることを理解しようと試み、何をしたいのか助けてあげようという姿勢で臨むことができた。とても美しい経験でした。」

 

野口里佳

■野口里佳(日本、1970-)

埼玉県に生まれる。日本大学藝術学部写真学科大学院在学中に応募した「1995年度(第一回)ヤング・ポートフォリオ」にて〈座標感覚〉(1992)が購入となる。以後、欧米、アジアでも制作・発表を重ね、現代美術の国際展にも多数参加している。東京国立近代美術館、グッゲンハイム美術館など内外のパブリック・コレクション多数。那覇市在住。10月7日より東京都写真美術館にて「野口里佳 不思議な力」展が開催される。
 
コメント「(当時YPの応募要項を見て)作品を買い取るという今までにない公募の仕方に驚きました。自分の作品がきちんとお金になる、それが若い作家にとってどんな励みになることか。自分の作品そのものがお金に置き換わることが勇気になりました。」

 

瀬戸正人

■瀬戸正人(タイ/日本、1953-)

タイ国ウドーンタニ市に生まれ、後に父の故郷、福島県に移り住む。東京写真専門学校(現・東京ビジュアルアーツ)在学中に森山大道氏に大きな影響を受ける。深瀬昌久氏の助手を務めたのち独立。1987年、自らの発表の場としてギャラリー「PLACE M」を開設し、現在も運営中。第21回木村伊兵衛写真賞受賞。2021年4月清里フォトアートミュージアム副館長に就任。

 

細江英公

■細江英公(日本、1933-)

「薔薇刑」(1963)や「鎌鼬」(1968)など、特異な被写体との関係性から紡ぎ出された物語性の高い作品により戦後写真の転換期における中心的な存在となる。2003年、英国王立写真協会より創立150周年記念特別勲章を受章したほか、2010年、文化功労者。2017年、写真家として初めて生前に旭日重光章を受章した。1995年より当館初代館長。

 
 
 

関連印刷物&YPデータベース

YP2022小冊子(A5サイズ、32ページ)
各作家の作品数点、選考委員による対談や作品へのコメントを掲載。来館者には無料で配布いたします。

YPデータベースには、過去20年余にわたる世界の若手写真家による収蔵作品画像のほか、作家略歴、アーティスト・ ステートメントを掲載しています。作家名、収蔵年、国籍などで検索することができます。 様々な調査・研究の対象としてもご利用いただければ幸いです。 ▶︎▶︎▶︎ www.kmopa-yp.com

 
 

会期中のその他の展示

収蔵作品より:古典技法「プラチナ・プリント」による作品
本年開催した「高校生ワークショップ」からの作品

 
 

お問い合わせ

本展の詳細につきましては学芸員・山地裕子 yamaji@kmopa.com
掲載用画像データにつきましては、学芸員・ 綱 info@kmopa.com が承ります。

ホームページ https://www.kmopa.com
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清里フォトアートミュージアム Kiyosato Museum of Photographic Arts
〒407-0301 山梨県北杜市高根町清里3545-1222
Tel: 0551-48-5599 (代表) Fax: 0551-48-5445 Email: info@kmopa.com

 
 

2023年度ヤング・ポートフォリオ作品募集 YP’23

2023YP作品募集
<一次選考・データによる応募> 2023年1月10日〜2月20日(必着)
<二次選考(一次選考通過者のみ)・プリントによる応募> 2023年5月14日まで(必着)

2023年度選考委員
 今 道子、野口里佳、瀬戸正人(副館長)
[特別選考委員]
 細江英公(館長)

応募対象者は「1988年1月1日以降生まれ」の方です。

詳細および募集要項
 www.kmopa.com/yp_entry
 

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