2023年3月26日(水)13:00~15:00、今年初となる高校生写真ワークショップ(以下、WS)を行いました。
今回は地元山梨県のほか神奈川県からも参加、また、小学生ながらたくさんの写真データを携えて受講くださった方もあり、それぞれの素晴らしい視点と将来性に、講師の瀬戸正人副館長、スタッフも驚いたWSでした。
<瀬戸正人副館長の講評 抜粋>
瀬戸「僕は、きれいに写った花よりも、それを撮った人の眼差しや思いを見たい。
写真はその人の気持ちをのぞく“鏡”のようなものだから、写っているものは花でも雲でも、実はいいわけなんです。
写真は、この世にある形あるもの、ないもの、何を撮ってもいい。空気が写らなくても空気やにおいを感じて撮ることはできるよね。
見る人がそれを感じてくれれば、それは“空気感”が写っている作品といえる。
見えないものをテーマにするのが芸術だから、自由に、何を撮ってもいいんですよ。」
瀬戸「“型”にはまった写真の方が良い評価をされることがある。
それは、おさまりのいい、わかりやすい写真を「良い写真」と判断としているから。
写っているモチーフについて―動物とか花とか―の批評をしている場合も多いんです。でも、そうじゃない。
常識とか、あたりまえの発想こそ、ひっくりかえしてみることが大事だよね。パターンなんて破ったほうがいいんです。
たまたまボケて写ってしまっても、その偶然が思いがけない面白味になることだってあるからね。」
「家で、自分が考えたモチーフを並べて撮るのも悪くはないよ。でも、それはあくまでも自分のせまい頭の中で考えたもの。
世界は自分の脳内よりもずっと広く、偶然に満ちている。偶然みつけた世界は、いつも自分の想像を超えている。」
瀬戸「もし誰かに自分の写真を見せるのなら、自分の世界観を持っておくといい。じゃ、世界観って何? ちょっと難しい?
―それは、自分って何なんだろう。なぜ写真が好きなんだろう?と、自問自答することから始まります。
そうすると「自分」というものが、必ず写真に写ってくる。
写真を見せた人が、自分の世界観や人生観を感じてくれたら一番いい。
何も説明しなくても『ああ、これは、あの人の写真だね』ってわかってもらえる。それって素晴らしいよね。」
瀬戸「写真はやはり、具体性をすこしだけ見せることが大切。なぜなら実際、そこに在るものだから。
でも説明しすぎにならないように、すこしだけだよ(笑)。
いいな、と思う被写体があったら何カットか撮ってみる。2カット目はこっちの方向から、もっと寄ってみる、とか。
小さな鳥が家に巣をつくった。それなら毎日撮ってみる。その鳥の、どこに自分は注目した? 次は、そこにもっと寄ってみたら?
こうしてトリミングしたり、明るさやコントラストを変えてみると印象が変わるでしょう?
レンズを二つ重ねたことある? 思いがけないクローズアップが撮れるたりするよ。
面白い!と思ったら、躊躇せずにサクっと撮る。そこに自分の思いをかぶせていくことを忘れないでね。」
参加者の作品を見た瀬戸副館長の感想は
「今日来てくれたみんなでグループ展ができるよ。」「来年のヤング・ポートフォリオに応募してみたら?」といったポジティブなもの。
一方、まばたきも忘れるほど講評に聞き入っていた受講者のみなさんからも、
「今日の講評をこれからの撮影に活かしたいです」「(次のWSまでに)もっとたくさん撮ってみたい」
「無意識にはまっていた“型“を破って、新しい撮り方に挑戦したいです」との前向きな感想をいただきました。
参加者のみなさん、そして当館まで送迎くださった父兄のみなさまも、誠にありがとうございました。
本ワークショップは、写真部に所属していない初心者の方、高校生以下の方でも、写真が好き!という方なら十分に楽しんでいただけます。
次回のご参加をお待ちしております。
開催日時:
第2回2023年5月21日(日)13:00~15:00
第3回2023年7月30日(日)13:00~15:00(予定)
*1回のみのご参加もお受けしています。
講師:瀬戸正人(写真家 / 当館副館長)
会場:清里フォトアートミュージアム
●参加費・入館ともに無料
●対象:高校1年生から3年生まで *ご希望の場合は高校生以下も受け付ます。
●実施内容:
各自USBに50~300枚の写真作品を保存し、当日ご持参ください。
瀬戸正人が高校生の作品にアドバイスをします。
●ご予約方法
1.お名前 2.高校名 3.ご連絡先(メールアドレスと電話番号)を下記までメールください。
宛先:info@kmopa.com 清里フォトアートミュージアム「高校生写真ワークショップ」係
定員:先着30名